本日の1冊 Self‐Reference ENGINE

Self‐Reference ENGINE (ハヤカワSFシリーズ・Jコレクション)

Self‐Reference ENGINE (ハヤカワSFシリーズ・Jコレクション)

 時空が破壊され、無数の宇宙が時間・空間の束縛を受けずに乱立する世界。それぞれの宇宙は巨大知性体によって成り立っており、しかしながら過去をも再構築できる演算能力をもつ巨大知性体たちも、宇宙を再編することはできない。
 多元世界を描いているので短編集的であるが、それらの伏線が結実する最果ての印象は強烈であります。
 「機械仕掛けの無」
 この視点はSFでしか産み出されないものであっただろう。
 非常に知的好奇心をくすぐられる世界観でありますが、読み物として普通に「面白い」点も素敵すぎる。
 床下からフロイトがいっぱい出てきたりとか、サブ知性体のハチと捕り物を繰り広げる八丁堀の巨大知性体の旦那とかね。
 久々に「読んだ」感を味わえた傑作であると思います。