本日の1冊 はじめての宗教論 右巻

はじめての宗教論 右巻 見えない世界の逆襲 (生活人新書)

はじめての宗教論 右巻 見えない世界の逆襲 (生活人新書)

 佐藤優によるキリスト教神学の入門書。
 まずは金日成の英雄神話とキリスト教的神話の類似性などキャッチーな雑学的にスタートするものの、いざ本篇が始まるとかなり取っつき難いものであった。
 解説はかなり丁寧なんだけど、事前知識が無いと読むのは苦しいでしょう。
 しかしこの人、他の著書もそうなんだけど、「読ませる」筆力が素晴らしいので、その取っつき難い内容を「面白い」と錯覚させてしまうのです。
 特に感じ入ったのは、キリスト教を自らの「主体的問題」と前提したうえで、宗教の意義を語ろうとしている著者の姿勢。
 近代知の相対化から始まった内容が、いつの間にか自己の相対化へと向かう「語り」がやはり「面白い」のであります。