本日の1冊 高慢と偏見とゾンビ

高慢と偏見とゾンビ ((二見文庫 ザ・ミステリ・コレクション))

高慢と偏見とゾンビ ((二見文庫 ザ・ミステリ・コレクション))

 かの「高慢と偏見」にゾンビを加えたマッシュアップ小説。
 あくまでもストーリーの流れなどは原作に忠実でありながら、そこにゾンビが存在することで世界観が書き換えられている。
 「淑女」を目指していたはずのベネット家の姉妹たちは、ゾンビが闊歩する世界では「戦士」であろうとする。姉妹たちは少林拳でゾンビを惨殺していくのだ。
 忍者までも登場したり、もうメチャメチャな設定でありながらも、くだらないパロディ小説とは一線を画し、なぜか原作の「気品」を保っているから不思議だ。
 ゾンビ・ファンも納得の人体破壊シーンなども織り込みながら、でもあんまり悪趣味な感じはせず、むしろ高尚な雰囲気すら漂う。
 これは丹念に原作を改変している作者の緻密な作業と、そしてもちろん「笑い」に対するセンスの賜物でしょう。
 いや、いいもの読みました。こりゃ面白い。