本日の1枚 にほんのうた 第四集

 V.A. / にほんのうた 第四集 (CD)

にほんのうた 第四集

にほんのうた 第四集

 
kobbadiva: 坂本龍一が総合監修する、日本の唱歌・童謡のカヴァー集。第4作目にして完結編でありますが、テーマは厳しい寒さをよろこびにかえてくれる「冬のうた」。
kobbanova: 実は第一集があんまり気に入らなかったんで、それ以降は買ってなかったんだけど、これを聴いて後悔しちゃったね。
kd: そんなに気に入りましたか。オープニングの『村の鍛冶屋』は、リトル・クリーチャーズ青柳拓次が編曲、ヴォーカルは細野晴臣ですね。細野ファンとしてはいきなりやられちゃいますね。
kn: 細野氏の低音ヴォーカルもいいんだけど、こりゃパーカッションが肝だよな。確かに日本的な囃子太鼓なんだけど、アフロ・トライバル的なグルーヴィさがある。カッコ良いリズムに単純に身を任せたくなるよ。
kd: 続くASA-CHANGの『北風小僧の寒太郎』もトライバルなリズムがカッコいいですね。コブシを効かせた中納良恵の歌声も面白いです。
kn: ピラニアンズの『小ぎつね』もどこかアフリカンな雰囲気があるよな、なぜだろう。
kd: 中山うりの『たきび』はちょっと南国風ですね。
kn: 無理がないモンド感が好いと思うよ。しかし、そういった特色を打ち出した曲よりも、岡林信康の『とうだいもり』みたいなのに惹かれるな。アコギで普通に歌ってるだけなんだけど、これが普通にいい。無理に独自性を出そうとしなくても素敵に仕上がる見本だよ。
kd: Saigenjiの『雪』は、ちょっとスパニッシュな雰囲気のギターが心地良いですね。歌声からじわーんと広がるグルーヴィさも流石であります。
kn: ま、でも何といっても、嶺川貴子とレイハラカミの『ペチカ』が最高だわ。そもそもこの曲が目的で購入したんだけどね。
kd: 誰が聴いてもレイ・ハラカミと分かるサウンドですね。
kn: 確かに聴く前から想定していた範囲内の音なんだけど、でもそれが曲とさらにミネコ様の歌声と完璧にハマってるんだよ。アルバムのテーマは「冬」らしいけど、他の曲はあんまり寒さを感じないじゃないか。極寒の中にほのかな暖かさを感じるこの曲はその意味でも最高だと思う。あぁ、ミネコ様の儚げキュートな声がたまらない・・・。
kd: ラストの坂本龍一『雪の降るまちを』はいかがですか。
kn: 「冬」の寒さではこっちのほうが凄いかな。さらっと聴いてると普通っぽいんだけど、聴いてるうちに凄みが伝わってくる。底知れぬ諦念と悲しみ、そしてそこから滲み出る慈愛、みたいな。
kd: 『ペチカ』と方法論は違いますが、これも極寒の中にほのかな暖かさを感じますね。
kn: でも、なんだか世界観に圧倒されてしまうので、気合い入れないと聴くのがちょっとツライわ。
 
 
 嶺川貴子 + rei harakami / ペチカ