本日の1枚 Lamp

 Lamp / 東京ユウトピア通信 (CD)

東京ユウトピア通信

東京ユウトピア通信

 
kobbadiva: 本日のお題は Lampの新譜です。昨年夏にリリースされたEPと同時並行して制作されたけど、今までじっくりアレンジを練って作り込んでいたそうです。
kobbanova: 1秒1秒の瞬間にもその作り込みを感じるよな。でも微妙に完成度を外している感もある。
kd: 音はまたかなりブラジル寄りになりましたね。
kn: うん、でもそれだけでは片付けられないよな。以前のシティ・ポップ的な雰囲気もなくなったわけではないし、様々な音楽の要素を随所に感じるし、そんなことを分析してもしょうがないだろう。チープな物言いだけど、これはどう聴いても Lampサウンドとしか言いようがないよ。
kd: ハーモニーの織り込み方も素晴らしいですね。
kn: 心地良さに紛れて気付き難いけど、すっごく細やかに姿を変え続ける。もう職人的な風格も感じるよな。
kd: オープニングの『空想夜間飛行』は、ブラジリアン・テイスト満開のポップな曲ですね。
kn: まずは冒頭の高速スキャットにグッときちゃうよな。突き抜けたポップさに耳を奪われるけど、後半のアレンジなんか本当に練り上げてることがうかかがえるよなぁ。
kd: 続く『君が泣くなら』は、ぷよぷよした浮遊感、柔らかなメロウさが可愛い曲ですね。
kn: ちょっとしたリズムのタメなんかに、これまた強いこだわりを感じるよ。
kd: 『冷ややかな情景』は冬っぽいボッサですね。
kn: 暖かい部屋の中から窓の外の雪景色を眺めているような温度感だけど。徐々にその温度が上がっていく心地良さが好いなぁ。特にエレピが絡んできたりすると、もうたまらんよ。しかも最後のほうのインストの展開がまたえらいことになってるし。
kd: 『遠い旅路』は立ち現れては消えゆくコーラスが素敵ですね。
kn: ぼんやりとしたドリーミーさから生じる浮遊感はミナス的でもある。
kd: 『君とぼくとのさよならに』では、掛け合い男女ヴォーカルをじっくり堪能できます。
kn: 派手さはないけど何気にいい曲だよな。
kd: 『心の窓辺に赤い花を飾って』もじっくり聴けるタイプの曲ですね。細やかなアレンジは聴く度に発見がありそう。
kn: と思ったら、終了間際のサイケな展開は何だ!
kd: 『ムード・ロマンティカ』は軽快なボッサ・ポップに。フルートの音色なども気持ち良いですね。
kn: アコギの刻みも清涼感が素晴らしいよ。この曲、歌詞も大好きなんだよ。
kd: ラストの『恋人と雨雲』は、まずはメロウ&ファンキーなエレピにしびれます。しかし、微細に姿を変えていくアレンジがまた凄いことになってますね。
kn: 榊原香保里の歌声の魅力の1つはユラユラと揺らめく不安定さにあると思うんだけど、それがアルバム中で一番味わえる曲だな。
kd: 聴き終わった後の、暖かな余韻も素晴らしいですね。
kn: まだ2月だけど、今年のベスト・アルバムはたぶんこれに決まりだな。