本日の1冊 原色の想像力

 創元SF短編賞最終候補作から9編を選した新人作品アンソロジー
 あんまりSFファンではないんでアレなんですけど、淡々と進むお話が多くて馴染みやすいと思ったり。
 特にお気に入りは、捨て犬を育てる3姉妹の人生を軸に生命を語る「うどん キツネつきの」と、四肢を失った女性棋士を描いた「盤上の夜」。
 前者はあくまでもほのぼのとした日常を描いているのに、なぜか恐いまでの非日常をその裏に感じる不思議さが素敵。ラストのいきなりSFな展開とそれをサラリとかわす結末も素晴らしい。
 後者はとんでもない設定を淡々と描く語り口が素敵で、そして全編に漂う乾いたエロスもまた素晴らしい。