本日の1枚 Gil Scott-Heron

 Gil Scott-Heron & Brian Jackson / It's Your World (2LP)

It's Your World

It's Your World

 
kobbadiva: 本日のお題は、残念ながら先日お亡くなりになったギル・スコット・ヘロン。これは1976年にリリースされたアルバムで、スタジオ録音の曲とライヴがあわせて10曲収録されています。
kobbanova: 何気にいいジャケなんだよな。アナログだと2枚組で、見開きも結構いい感じなんだ。
kd: さて、訃報を伝えるニュースでは、「ラップの元祖」と書かれていましたが、そんな風に評されてることを全然知りませんでした。確かにポエトリー・リーディングのスタイルはラップぽいのかもしれませんが。
kn: むしろ「ヒップホップ・ネタの元祖」という感じがするな。俺だって、もともとこの人を知ったキッカケは、何かのヒップホップの曲でネタに使われてたからなんだよ。80年代終わりのレア・グルーヴが流行ってた頃、今のようにネットなどから情報を得る手段がなかったから、ヒップホップの曲で使われてるこの音のオリジナルは? て探し方でジャズ・ファンクなどの知識を広げていってたんだ。ヒップホップのネタから曲の素晴らしさを多くの人に知られていく、その元祖的な存在の1つがこの人だと思う。
kd: 前置きが長くなりましたが、このアルバムはエレピなどが素敵なメロウ・グルーヴィな名盤ですねぇ。
kn: なんとなくギルには「怒り」がこめられた曲のイメージがあるんだけど、この盤は全体的に明るく開放的な印象を受けるな。
kd: エレピなどのブライアンの演奏も素晴らしいし、ギルの歌声も本当に素晴らしいですね。
kn: なんでだか上手く説明できないんだけど、グルーヴィさが格別だよなぁ。リズムからも歌声からも音にも隙間の無音からも、とにかくグルーヴが溢れだしてくる。
kd: 冒頭の『It's Your World』からグルーヴィなジャズ・ファンク。軽やかなファンキーさとメロウさが素敵です。
kn: 続く、ややゆったりとメロウ・グルーヴィな『Possum Slim』なんか、アーシーなリズムを刻むベースにトローンとするな。ミニマルな要素も感じられる。しかしまぁ、ミニマルといえばやっぱ『The Bottle』だな。
kd: レア・グルーヴのファンにとっては代表曲といっていいですね。
kn: 小刻みにループされるエレピの音色がたまんないよ。この盤のはライヴ演奏なんだけど、各楽器の正確な刻みがなんかすごいな。
kd: ラテン風味な演奏も特徴的ですね。『17th Street』はフルートも軽やかなファンキー・ラテン・フュージョン
kn: 『New York City』なんて、なぜか途中でラ・バンバにラテンな展開になっちゃうし。面白いなぁ。
kd: ライヴ感では、『Home Is Where The Hatred Is』でのお客さんの盛り上がりがいいですね。
kn: 重くグルーヴィなベースと軽やかなエレピとか、レア・グルーヴと呼ばれる括りの見本みたいな曲だな。掛け合いのヴォーカルもいいわ。
kd: 無伴奏でポエトリー・リーディングのみの『Bicentennial Blues』はある意味で真骨頂でしょうか。お客さんが笑い声もまたいい感じです。
kn: 久し振りに聴いたけど、実に素晴らしいアルバムだよ。なんだか他のアルバムも聴いてみたくなってきたぞ。
 
 
 It's Your World