本日の1枚 山下達郎

 山下達郎 / Ray Of Hope (CD)

Ray Of Hope (初回限定盤)

Ray Of Hope (初回限定盤)

 
 前作「SONORITE」をどう聴いたか。貶してる人が多かったので、それに反発する気持ちもあって「僕は好き」と言ってたんだけど、でも正直なところ言うほど気に入ってはいなかったのであります。
 またデジタル環境での録音となる本作もそんなに期待してなかったんだけど、周りの好評に押されて聴いてもみたら、あら、本当に好いアルバムですなぁ。
 それは前作よりも完成度が高いという意味ではなく、前作よりも山下達郎を感じるのであります。
 また、アルバム全般に80年代の雰囲気が漂っていますが、それは決して音のせいだけではないだろう。達郎らしいってことが、80年代っぽいってことでもあるのだ。
 
 と言っても懐古主義なわけではなく、音なんかはかなりこれまでのイメージとかけ離れている。
 例えば幕開けに続く『NEVER GROW OLD』では、思い切り80年代テクノ・ポップなシンセの音色にビックリ。悪い意味で言ってるんじゃないよ、もちろん。
 『街物語 (NEW REMIX)』では、なんとオートチューンを使用! 流麗なストリングスで泣かせる曲ではあるが、ギターのカッティングなどが刻むリズムはソウルフルであります。
 また、なぜかいきなりファンクな『俺の空』も意表をつく曲。ラストで繰り返される言葉も妙に突き刺さる。
 
 震災後、てキーワードで語られることに微妙に違和感を感じるものの、『希望という名の光』なんか聴くと歌詞にグッときますよな。達郎に歌われると応援歌でも斜めに構えず聴いてしまえる。
 ウキウキな『HAPPY GATHERING DAY』の穏やかな多幸感にもグッときたり。それまでの曲から湧き出る焦燥感が落ち着かされます。
 
 お気に入りは、メロウ・フローターな『プロポーズ』。サビのブリージンなアレンジも素敵であります。
 ま、でも、正直一番好きなのはアカペラの『バラ色の人生』かなぁ。
 いや、ライヴ音源をリマスターしたボーナスCDがやっぱり一番・・・