本日の1枚 Meg Baird

 Meg Baird / Seasons On Earth (CD)

シーズンズ・オン・アース

シーズンズ・オン・アース

 
 フィラデルフィアのフォーク・グループ、エスパーズのメグ・ベアードによる、2枚目のソロ・アルバムです。
 アコギを中心にしたフォーキーなSSWアルバムで、レコ屋の謳い文句でジュディ・シルやヴァシュティなどが引き合いに出されているのも、決して過言ではない素敵な盤であります。
 まぁまずは歌声の素晴らしさ。美しく透き通ったその声は、時に可憐に、時に力強く。シンプルな楽曲が中心であるのに多彩に聴こえるのも、その歌い方の微妙な差異から生み出されているもの。
 ペダル・スティールやドブロをフィーチャーし、オールド・タイミーなテイストを散りばめたアレンジにも関わらず、歌声の陰翳は英国フォークな佇まいがあります。
 
 オープニングの『Babylon』から、シンプルにフォーキーな魅力が全開。儚さと強さを横断すアーシーな歌声がたまらない。
 シンプルな美しさでは『Even Rain』が抜群。すっと伸びる高音コーラスの儚げな可憐さにキュンときます。
 しかし、儚げであっても、ペダル・スティールが呑気なユルさを付加してて面白い。『The Finder』なんて、歌声とギターの紡ぎは英国の森の中で、背景はハワイな浜辺みたいな感じであります。
 
 何も前情報無しで聴いたら、きっと70年代前半くらい音楽だと思っちゃいそうですが、実は2011年のリリース。
 そういやラストの『Song For Next Summer』とか、微妙にエレクトロニカな感性を感じたりしますね。
 『Stars Climb Up The Vine』のアコギなんて、なぜか電子楽器の音色を聴いてるような味わいがあります。
 
 僕のお気に入りは『Share』と『Beatles And The Stones』。
 前者は消え入りそうな儚げコーラスが素敵なアシッド・フォークで、でもトローンとしたメロウさが心地良くもあります。
 後者はハウス・オブ・ラブのカヴァーで、凛としたフィメール・フォークな仕上がり。波のように押しては引くアルペジオの上を浮遊する、清廉な歌声がこれまたたまらないのです。
 
 
 Beatles And The Stones