ここ数日で読んだ5冊

 「本にだって雄と雌があります」

本にだって雄と雌があります

本にだって雄と雌があります

 今年読んだ小説の中でもベストと言い切れます。
 蔵書家の祖父の人生を中心に語られる、ある家族の年代記。しかし、タイトルどおりに蔵書たちは交じり合い、新たな本(幻書)を産み出す。あまりにアホらしいが、書物への愛情に満ち満ちています。
 リアルさにファンタジーが混じり込む物語がユーモラスに紡がれる手法は、まぁちょっと森見登美彦っぽくもありますが、時にキュートな夫婦愛を語り、時に重苦しく戦争を語り、美しく軽い文章にかかわらず内容はとても濃くて素晴らしい。
 小さなどんでん返しを繰り返しながら、ラストは意外に感動。
 
 「魔法使いは完全犯罪の夢を見るか?」
魔法使いは完全犯罪の夢を見るか?

魔法使いは完全犯罪の夢を見るか?

 
 東川篤哉の新シリーズ短編集、これが想定外に面白かった。
 魔法使いが刑事をお手伝い、いきなり犯人を当ててしまうという無茶な展開を軸にしながらも、謎解きをきっちり成立させています。
 ユーモア・ミステリとしての面白さも「謎解きは・・・」よりもずっと上出来かと。
 
 「謎解きはディナーのあとで 2」
謎解きはディナーのあとで 2

謎解きはディナーのあとで 2

 安楽椅子探偵役の影山が現場に出かけることで、ミステリ要素はさらに薄まっちゃいました。けどまぁキャラどおしの会話のテンポとか、面白いことは面白いけど。
 
 「僕らのヒットパレード
僕らのヒットパレード

僕らのヒットパレード

 片岡義男小西康陽がレコードを語る。
 2人のアナログレコードへの愛情と拘りにグッときて、つい中古レコ屋に出かけたくなる。
 
 「とりかえっこ」
とりかえっこ (絵本のせかい 21)

とりかえっこ (絵本のせかい 21)

 3歳の息子が今年一番気に入ってた絵本。遊びに出かけたひよこが、出会った森の動物たちと「鳴き声」をとりかえっこしていきます。
 穏やかキュートでほんわかした気分になると同時に、ラストで実質的に声を失う展開にちょっとゾッとしたり。