本日の1枚 Lonnie Liston Smith

 オランダの音楽がどうしても思いつかないので、「さまよえるオランダ人Flying Dutchman Productions の盤かな。

エクスパンションズ

エクスパンションズ

 僕が大学生の頃に、レア・グルーヴとして高い評価を受けていたロニー・リストン・スミス。これは1975年にリリースされた盤で、僕が持ってるのは1990年くらいにレア・グルーヴの波を受けて再発されたもの。その後最近になって今度はテクノ系の人たちから再度評価を受け、何枚かCD化もされたようです。
 このクラブ・シーンでの2段階の評価こそが、ロニー・リストン・スミスの音楽を表わしているように思えます。
 軽いリズムに重くうねりをあげるベース、ファンキーなオルガンに浮遊感たっぷりのシンセ。メロウなジャズ・ファンクであったり、爽やかなディスコ・ファンクであったりしますが、基本はとにかくグルーヴィ。静かなフュージョン曲であっても、どこからかじんわりとグルーヴ感が伝わってくるのです。この肉体的な快感がまず第1の魅力でしょう。
 そして、ミニマルに繰り返されるリズムとコズミックなシンセのフレーズ、フルートの音色がまるで宇宙を漂っているかのようなトリップ感覚。根底がデトロイト・テクノに通じるような壮大なスピリチュアルさを湛えています。この精神的な快感が第2の魅力。
 タイトル曲『Expansions』はまさにこの2つの魅力を兼ね備えた逸品。グルーヴィなダンス・サウンドとして踊るも良し、スピリチュアルな黒人音楽としてリスニングにも良し、また、軽やかなメロウ・フュージョンとしてただ聞き流すのも良しと、いろいろ楽しめますよ。
 その他では、呑気なチカーノ・フュージョンな『Summer Days』、キラキラとメロウな『Shadows』、ピリピリした音とジェントルなヴォーカルの対比が素敵な『My Love』がお気に入りです。