第14回セレクト合戦 勝手にレビュー Finylさん編

 本日レビューは、Finylさん。
 今回のテーマは「紅白歌合戦」なんですが、裏テーマを設けている方も多いようです。僕も初めは「カヴァー」を裏テーマにしようと考えていたのですが、納得がいかず諦めてしまいました。
 
 で、Finylさんの裏テーマはその「カヴァー」。単に男女ヴォーカルのカヴァーを単純に交互に収録したものではなく、一対ごとに対決方式になっていて、また、何よりもそのカヴァーの選曲センスが素晴らしいものばかり。誰でも知ってるようでいて、ああ、これをカヴァーするのか、と思えるような曲ばかりなんですよ。
 もちろんのこと、カヴァーの料理の仕方がまた素敵なものばかりです。特に1曲目のインパクトの強さといったら!(即Amazonでポチッといっちゃいました・・・)
 
 なんとなくSSWなイメージの強いFinylさんですが、毎日のブログを拝見していると、SSW系への奥深さだけではなく、あらゆる分野に対して幅広い見識をお持ちであることがうかがえます。今回のセレクトは、Finylさんの音楽に対する姿勢のようなものを感じることができるものであるような気がしております。ただもう、さすが、という感じ。
 
 収録されている曲目は、
 01. Flesh Failures (Let the Sunshine In) / Brian Auger, Julie Driscoll, The Trinity ('68)
 02. Man In Me / Al Kooper ('74)
 03. Something In The Air / 鈴木さえ子 ('87)
 04. Drowning In The Sea Of Love / Snafu ('73)
 05. One Fine Day / Natalie Marchant ('97)
 06. Goin' Back / Nils Lofgren ('75)
 07. Wichi Tai To / Herpers Bizzare ('69)
 08. No Felings / Bananarama ('83)
 09. Take It To The Limit / Frank Weber ('79)
 10. Ballad Of Easy Rider / Fairport Convention ('69)
 11. Sue Me Sue You Blue / Jesse Ed Davis ('72)
 12. Jelous Guy / イノトモ ('00)
 
 僕がいただいた拡大ヴァージョンは、以下4曲のボートラ入り。
 06'. Yesterday / PP Arnold
 06''. I Call Your Name / Buckinghams
 06'''. Carry On / Timothy B Schmit
 06''''. Wooden Ship / Chris Harwood
 
 (01) は、一聴したときにはサビまで何のカヴァーなのかピンときませんでした。単調なようで印象的なオルガンを前面に出したモッド・ジャズな演奏に、力強いようでアンニュイな面も見せるジュリーの歌声がまた素晴らしい。陰りのある黒さ加減がいいですね。
 (02) は、アル・クーパーってあんまり聴いたことないのですが、こんなに良いのか、と思いましたよ。エモーショナルなんだけど、でも何か薄い感のある歌声にグッときました。ヘニョヘニョさも素敵。
 (03) は、XTCも参加していたアルバムから、アレンジの素晴らしさでは群を抜いた名曲。これは大好きな曲です。グルグルと目が回るような珍妙な起伏は、何度聴いてもハッとさせられます。
 (04) は、ワウワウなギターがファンキーで、これもまたモッドな黒さがいい感じです。
 (05) は、いきなりムーディなジャズ系に。しっとりし過ぎず、儚げな感もある歌声がいいですね。
 (06) は、シンプルなアコースティック・カヴァーなんですが、ちょっぴり小粋な、控えめに軽やかなポップさが素敵です。(01)かこの曲か、どちらを一番のお気に入りにするか迷っているところ。
 (07) は、フワフワさがたまらないですね。こういう不思議な浮遊感のあるソフト・ロック系の曲は大好きなんです。もちろんこの曲もフェイバリットですよ。
 (08) は、イントロのドコドコしたリズムから惹かれ、ガレージぽいガール・ポップさが好いなぁ、と思ってたらバナナラマなんですか! こりゃ参りました。
 (09) は、前半の爽やかテイストのカントリー風味のポップさが、後半でキラキラしたAORへと徐々に姿を変えるアレンジが素敵ですね。軽やかにステップを踏むリズムへのライトな感覚も素敵です。
 (10) は、ロジャー・マッギンとの共作。『If You Gotta Go Go Now』のフランス語のカヴァーが好きなんですが、これもいいですねー。
 (11) は、押し寄せる渋い波に翻弄されました。呑気なようで、有無を言わせない力強さがありますね。
 (12) は、こりゃ凄い! 重くグルーヴィなリズムとギター、オルガンの音色に、気だるくキュートな歌声がなんとも心地良いです。硬質なドラム、ロー・ファイな雰囲気にも関わらず、柔らかな印象を受けますね。(01)、(06)を押さえて、これが一番のお気に入りとなりました。
 ボーナストラックでは、06'''のちょっぴりヘヴィなグルーヴィさが好かったです。
 
 ↓Finylさん本人の解説はこちら
 http://d.hatena.ne.jp/Finyl/20051218