本日の1枚

 The Fifth Avenue Band / The Fifth Avenue Band (CD)

ザ・フィフス・アヴェニュー・バンド

ザ・フィフス・アヴェニュー・バンド

 ピーター・ゴールウェイ、ケニー・アルトマンらが結成したこのバンドは、'69年にたった1枚のアルバムをリリースして解散しました。(割りと最近に復活したらしいですが)
 バンド名どおりにニューヨーク、都会を感じさせる音作り。同時代の他の音と比べると、このアルバムがいかに革新的であったかが分かります。
 フォーキーなサウンドを基調としながらも、R&Bやソウル、ジャズからボサ・ノヴァまでも呑み込んだ、洗練されたアレンジの楽曲の数々。
 オープニング『Fast Freight』のようなやや土臭い曲もあるものの、漂ってくるのは完全に都会の空気。
 都会の孤独さを激しく嘆くのではなく、洒落たセンスに包んで穏やかに語り続ける。僕が「都会」を感じるのはまさにこのタイプの曲なんです。
 70年代AORの前夜に輝いた、エヴァーグリーンな青春の瞬き。
 
 目玉はやはりフリー・ソウル界隈で人気の『One Way Or The Other』でしょうか。コロコロと軽快に転がるパーカッションに、ジェントルな歌声と爽やかなコーラスが響き渡ります。じんわりと伝わりくるグルーヴ感が最高にカッコ良い。
 フィニルさんが選んだ『Good Lady Of Tronto』は昔の恋人を歌った曲で、とても切なく甘酸っぱい歌詞が胸を打ちます。他の曲も儚い青春を歌ってるものが多いですね。
 淡い色調の『Country Time Rhymes』は、控えめな音と穏やかな歌声で美しくまとめられていて、とても好きな曲です。
 シティ・ポップな『Nice Folks』を聴くと、山下達郎がこのバンドに大きく影響を受けたという逸話に頷けます。