本日の1枚
土岐麻子 / Weekend Shuffle (CD)
- アーティスト: 土岐麻子
- 出版社/メーカー: LD&K
- 発売日: 2006/12/06
- メディア: CD
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土岐麻子の新作はまたもやカヴァー集です。「最高の週末のための極上カヴァー集」をコンセプトに選ばれた曲は、和ものポップ・ソングのヒット曲が中心。
ジャズ・シンガーとしての資質を前面に出したこれまでのカヴァー集の雰囲気に加え、シティ・ポップな洒落たキラメキが散りばめられていて、いい感じにポップ度が増してます。
温かみのあるジャジーな演奏をふわふわと浮遊感にあふれるアレンジでくるんだ楽曲はどれも心地良いのですが、やはり一番の魅力は、円やかだけどどこかクセのある彼女の歌声ですね。
曲によって矢野顕子っぽく、またユーミンっぽく聴こえたりするのは選曲の所為でしょうか。僕ぐらいの年代にとっては懐かしい曲を取り上げているのがなんとも嬉しいところ。もちろん、どの曲も見事に料理されています。奇をてらうことなく、1音1音がこだわり抜かれている印象を受けますが、そのこだわりを感じさせずにさらりと聴けてしまうところが職人技なんですね。
冒頭の『君に胸キュン』にもう胸キュンです。アーバンな音使いが意外にしっくりきていて、これは素晴らしい選曲です。柔らかな音&歌声と硬質なドラムとのバランスもいい。
『夢で遭えたら』は、ラテン・ジャズ風にカヴァー。穏やかなリズムとじんわりと響くエレピの音色がなんとも心地良い。
『Down Town』(シュガーベイブ)は、原曲の雰囲気を損なわずにきっちりとジャジーに。
『土曜日の恋人』は、ボサ・テイストのAORにカヴァー。ふんわりと穏やかな音から零れ出るキラメキも素敵で、これが一番のお気に入りです。
『夏の思い出』は、ケツメイシのカヴァー。意外性ではこれが断トツでしょう。ラップの代わりをジャズ・ピアノが果たすという発想に参りました。
EW&Fの『September』は、以前にもカヴァーしていましたが、今回はより柔らかで温かみのある音に仕上げています。ジャズ路線からポップス路線へ、というイメージを強く感じました。個人的には穏やかさの中に寒々しさも感じられた以前のカヴァーのほうが好き。
『Sunday Morning』は、マルーン5のカヴァー。適度にファンキーな洒落たジャジー・ポップにカヴァー。ウキウキとハッピー気分なリズム、ホーンもいいし、不穏な動きをみせるギターの音とかちょっと面白い要素もあり、カヴァー曲としての完成度の高さはコレが一番かな。