本日の1枚

 Tickawinda / Rosemary Lane (CD)

Rosemary Lane

Rosemary Lane

 
 男2女2の4人組の、英国トラッド・バンド。1978年に自主制作されたアルバムのCD再発。
 アコギとマンドリンを中心としたシンプルと演奏に、美しい(上手い)ヴォーカルが際立っています。
 あんまりトラッド方面に詳しくないのですが、この質の高さにはただ耳を奪われるばかり。素朴な歌声と演奏にも関わらず、なんだか洗練された印象も受けるんですよ。
 
 まずは冒頭のアカペラ『John Barleycorn』での、重厚ながら静謐感のあるコーラスの重なりからすっかり魅了されました。
 飾り気のない演奏と歌声が泣きメロを辿るトラッド曲が、スッと輝くように思えるのは、この神々しいほど美しい女性ヴォーカルとジェントルな男性ヴォーカルに依るものでしょうね。
 そしてアカペラのトラッド曲を退屈せずにワクワク聴けてしまうのは、コーラスの素晴らしさだけじゃなく、ポンポンと曲が切り替わっていくテンポの良さがその魅力の秘訣。
 しかも曲ごとにコーラス・アレンジ、男女の歌声の絡み方が変化していますし。
 
 アルバムのタイトルにもなってる『Rosemary Lane』は、もちろんバート・ヤンシュのカヴァー。これがまたアシッドなアコギのフレーズに美しい2つの女性ヴォーカルが絡み合う逸品。凛とした気品と穏やかな円やかさを、ちょっとしたタメとかで表現しているヴォーカルが素敵すぎます。
 極めつけはアン・ブリッグスのカヴァー『Go Your Way』。じんわりと盛り上がり感が広がっていくフォーキー・ポップで、これまた2人の女性ヴォーカルの絡みがたまらなく美しい。さりげなくこんなポップなアレンジの曲を挿入してるところもまた心憎い。