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 Sidney Miller / Linguas De Fogo (CD)

Linguas De Fogo

Linguas De Fogo

 
 1960年代後半からブラジルでプロデューサーとして活動していたシヂネイ・ミレールが、1974年にリリースした3枚目のソロ・アルバム。
 トニーニョ・オルタ等などのミナス系のミュージシャンが参加しています。
 
 ぼんやりとした浮遊感がいっぱいのミナス系のサウンドに、鳴り響くファズ・ギターがサイケな彩りを添える。どーんとサイケな音ではなくて、ゆらゆらと揺らめく酩酊感が不思議に漂ってくるような音楽。
 ヴォーカルはあくまでもジェントルで、(おっさんですが)天使の囁きのように優しく浸透してくるよう。
 そのソフトな歌声と柔らかなトロピカリズモ・サウンドにより、マジカルナ魅力あふれるソフト・サイケなアルバムとなっています。
 
 オープニング『Cicatrizes』はふわふわしたミナス・サウンドの合間を漂うヴォーカルの魅力を堪能できます。突然スピードが上がるアレンジもまた好し。
 タイトル曲『Linguas De Fogo』は、ジェントルで甘いメロディのSSW、て曲調に歪んだファズ・ギターが意味不明の彩りを添える素敵すぎる作品。それでも全体的にはソフトで美しい印象を受けるから不思議です。
 ファンキー・ジャズ・ロックな『Dos Anjos』は「ヘイ!」とかの掛け声がカッコいいし、グルーヴィーな『Pala-Palavra』はベースの唸りと跳ねるピアノやフルートの音色もカッコいい。でも、どちらもヴォーカルはあくまでもジェントルなんです。
 煌びやかなボサ・ポップ『No Quatro Das Mocas』、グルグルとトリッピーな『Sombrasileiro』、小粋なブラジリアン・フュージョンの『Espera』とか、とにかく魅力の尽きないアルバムです。
 
 
 ナラ・レオンと共演するシヂネイ・ミレール。
 シヂネイは彼女の初期作品のいくつかを手掛けています。