本日の1枚

 Blackthorn / Blackthorn (CD)
 
 
 英国の4人組トラッド・バンド。1977年に自主制作でリリースしたアルバムです。
 トラッド曲とカヴァー曲でオリジナルはありませんが、どのカヴァーもいい味出してるんですよ。ちょいと侘しい英国的なメランコリックさがキュンと心に染みます。
 アコギやマンドリンのシンプルな演奏もとても素敵。マンドリンなんか卓越したテクニックをもってるにも関わらず、学生バンドが演奏しているような素朴な空気を感じます。
 
 そして、ジェントルに響く男女コーラスがまたとても素敵。
 中心の女性シンガー Nina Szifris の歌声は、豊潤で陰りがあって、かつ力強い気品も漂います。
 ふくよかな年配の女性をなんとなく想像していましたが、裏ジャケを見ると可憐な女性が歌っていました。
 
 オープニングの『Rick Rack』は、ジェリー・ラファティのカヴァー。哀愁たっぷりの高速マンドリンとちょいとダグマー・クラウゼ風の女性ヴォーカルが素晴らしい。
 ニール・ヤングのカヴァー『After The Goldrush』は、無伴奏で歌声のみの勝負。トラッドっぽい歌唱が心に染みます。
 レナード・コーエンのカヴァー『That's No Way To Say Goodbye』では、アコギとマンドリンを背景に清々しく美しい歌声を聴かせます。穏やかなポップ感も好く、この曲が一番のお気に入りかな。
 圧巻なのはオーウェン・ハンドのカヴァー『My Donal』。これまた無伴奏なんですが、波の音を背景に、ドドーンと押し寄せるような歌声に巻き込まれそうです。