本日の1枚 Beauregard Ajax

 Beauregard Ajax / Deaf Priscilla (CD)

Deaf Priscilla

Deaf Priscilla

 
 幻の米国サイケ。
 1968年にロサンゼルスでレコーディングされながらも、リリースされなかった音源がCD化されたモノ。
 
 「ドリーミー・サイケの傑作」てレコ屋の評に魅かれて購入したんですけど、オープニングの『Loneliness Is a Sometime Thing』を聴いて、アレ? 演奏も歌声も武骨に荒々しいサイケデリック・ロックなのでした。
 ところが続く『Goodbye Again』でガラリと印象が変わります。物哀しいメロディと繊細な歌声が、なんだか情けなくていい感じ。
 
 アルバム全体を覆うドリーミーな雰囲気は、ただ単に音質が悪いから産まれてるのかもしれませんが、どんよりとした美しさと、儚く侘しい世界観は、なんか印象は薄いんですけど、スルメ的な味わいも感じられます。
 
 タイトル曲の『Deaf Priscilla』は、ぼんやりとドリーミーな渦巻の中に音の粒がキラキラと弾けるよう。安物のSF映画のサントラ風ですが、なかなかに味わいのある楽曲。
 ラストの『Kaleidoscope』のように、普通にサイケ・ポップしてる曲もあり。
 
 白眉はソフト・ロッキンな味わいもある穏やかなサイケ・ポップ『Things Will Work out Fine』。儚く美しいハーモニーと中南米風の味付けも素敵なんです。