本日の1枚 相対性理論

 相対性理論 / ハイファイ新書 (CD)

ハイファイ新書

ハイファイ新書

 
 巷で話題の相対性理論を聴きました。
 前作に比べてロック色が薄まった、という話ですが、そもそも前作を聴いてない僕にとっては結構ロックしてるように思えました。ポップ度もかなり高いですけどね。
 音的には70'sメロウ〜シティ・ポップな感じなんですけど、根底には80'sポスト・パンクな鉱脈が横たわるような気がします。というか、ポスト・パンクに影響を受けた80年代日本のインディ・バンドな印象ですね。
 どの曲にもメロウさがこれでもかと溢れてるんですけど、シティ・ポップじゃなくってあくまでもニュー・ウェーヴな感性。80年代後半の英国では、ニュー・ウェーヴ出身者がファンクやジャズに流れていってたじゃないですか。そんな感性でシティ・ポップに流れてる音のように思えるのです。
 
 ロリロリなヴォーカルもとても好いですね。ちょっと可愛すぎではありますが、やや色気もあって、つかみどころがなくって。
 このテの不思議少女的なヴォーカルって、歌い方によっては微妙な気もする歌声ですが、どの曲にもピッタリはまってて魅力を発しています。
 
 巷で評判の歌詞ですが、歌詞カードを見ても正直グッとはこない。むしろ、嫌悪感を覚えるタイプの狙った言葉が並んでいます。
 けれど、やくしまるえつこの歌声で綴られると、不思議とすんなり受けとめれます。いやむしろ、語感・語呂の良さが魅力的に思えます。
 
 そしてキャッチーなメロディもいいですね。ポップ・ミュージックにおける所謂キャッチーさとはかけ離れてるんですが、これまた不思議と耳に馴染む。洗練された良質なメロディなんかじゃなく、お風呂で適当に鼻歌を口ずさんでいるような、そういうキャッチーさですね。
 
 オープニングの『テレ東』は、メロウなギターを除けば80'sインディ・バンドそのままなような気がします。
 『地獄先生』は、イントロのギターもかっこいいグルーヴィさとそれに似合わない歌声が好いし、『ふしぎデカルト』は、ジャパニーズ・トライバルなリズムが面白い。
 『四角革命』は、まずはメロウ・フローターなイントロに参りました。パトリス・ラシェン『Remind Me』系の音運びが心地良すぎ。そして、転調後のスムーズなスピード感もまた素晴らしい。
 『品川ナンバー』は、Zappあたりを髣髴とさせるメロウ・エレクトロ・ファンクで、『学級崩壊』は、英国バンドなギターの刻みがカッコいいと思ってたら、サビは民謡風であれれ。こういうノリもなんだか80'sバンドっぽいなぁ。
 一番のお気に入りは『さわやか会社員』。メロウ・ボッサなイントロから胸キュンですが、そのメロウさを保ちつつも80'sギター・ポップな煌めきが素敵。爽やかで切なく甘酸っぱい青春ギタポな楽曲ながら、キュートなロリ声で歌われる何とも間の抜けた歌もまた素敵。「夜中も見廻り警備員」って歌詞がいつまでも耳に残る語感のキャッチーさもまたまた素敵。
 『ルネサンス』は、メロウさも輝いてるけど小林旭自動車ショー歌』的な歌詞がなんとも・・・。そんな歌詞では、ラストの『バーモント・キッス』がピカイチ。「わたしもうやめた、世界征服やめた」って冒頭の歌詞を聴いてガツンとやられました。
 
 いやいや、周りの皆さんが中毒になっていくのもよく分かりました。「シフォン主義」も聴いてみないと。
 
 
 テレ東
 
 
 地獄先生
 
 
 バーモント・キッス