本日の1枚 Wendy & Bonnie

 Wendy & Bonnie / Genesis (CD)

Genesis

Genesis

 
 1969年、17歳と13歳の少女姉妹が作成したソフト・サイケなアルバム。
 ゲイリー・マクファーランドのスカイ・レコードからのリリースです。そのゲイリー・マクファーランドがプロデュースし、ラリー・カールトンなどが演奏に参加。なのでサウンドはもちろん文句なしですが、それ以上に2人が制作した楽曲(全曲オリジナル!)の素晴らしさに驚きです。
 
 例えば、演奏がシンプルな『Paisley Windowpane』なんかを聴くと、如何に楽曲の質が高いかがよくわかります。
 そして、彼女たちの美しいハーモニー。ただ単に無垢な少女の歌声、て訳ではなく、微妙にサイケ感を帯びた憂いも溢れる歌声。17歳と13歳がこんなハーモニーを奏でるなんて!
 
 そんな素敵なハーモニーを活かすためか、演奏はシンプルなものが多いですね。ソフト・ロック名盤として紹介されることの多いアルバムですけど、そんなにソフロなアレンジとは感じられません。
 フォーキーなんだけどちょいとジャジーなアレンジは、彼女たちの歌声と相俟って、独特にサイケ・ポップな世界観を表しています。
 
 サイケなオルガンが密やかに響くアップテンポなオープニング、『Let Yourself Go Another Time』でまずはガツンと。フラワーなハーモニーにすっかり耳を奪われます。
 続く『Paisley Windowpane』が特にお気に入り。ぼんやりとしたサイケ感が素敵な淡い演奏と、儚くキュートな歌声に胸キュンなのです。
 80'sギター・ポップ的な『I Realized You』、洒落たフラワーなアレンジの『You Keep Hanging Up On My Mind』、ジャズ・ファンクなグルーヴィさの『Endless Pathway』、まどろみソフト・サイケな『Children Laughing』、ジャジーなハーモニーから突然サイケに変化する『Winter Is Cold』とか、どの曲も実に素晴らしいソング・ライティングと歌声に聴き入ってしまいます。
 
 そして、そんな素敵なアルバムよりもさらに素敵なのが再発CD収録のボーナス・トラック。
 まず前身バンド Crystal Fountain Acetate の『Night Behind Us』は、サイケというよりもシューゲイザー的な味わいで、荒削りな演奏にも関わらずどんよりした美しさが光ります。
 以降のデモ4曲がこれまた素晴らしい。どの曲もアコギのみのシンプルな演奏に儚いハーモニーが映え、もう抱きしめたくなる可憐さ。特に『Ice Cream Man Song』のハーモニーに心奪われております。
 
 
 Let Yourself Go Another Time
 
 
 Winter Is Cold