本日の1枚 Telefon Tel Aviv

 Telefon Tel Aviv / Immolate Yourself (CD)

Immolate Yourself

Immolate Yourself

 
 米国のエレクトロニカな2人組。Bpitch Controlに移籍しての新作リリース。
 ところがなんとリリース後すぐに、メンバーのチャーリー・クーパーの訃報が飛び込んできました。詳しい死因まで報じた記事は発見できませんでしたが、彼女との諍いの後に自ら命を絶ったようです。
 結構好きなユニットだっただけに、非常に残念。
 
 彼女との諍いの後に・・・て聞くと、ついついイアン・カーティスを思い浮かべてしまうんですけど、さてこの新譜、電子音の背後にそびえ立つゴシックな壁にもまたジョイ・ディヴィジョン的なものを感じたりもします。サウンドそのものはニュー・オーダーしてるんですけどね。
 
 前作でも壮大なシンセの壁が印象的だったんですけど、このアルバムの曲調はかなりポップで、シンセベースがブリブリしたり電子音がピコピコしたり、とっても80'sエレ・ポップしています。
 特にロマンティックなシンセの音色はいかにも80'sしてて、その音色はチープな印象だけど音の重なりの厚みがすごくて、またその厚みにもかかわらず浮遊感に溢れています。
 
 シューゲイザー&エレクトロな雰囲気ではあるものの、どの曲も内に沈んでいくような内向的な志向が強い。ロマンティックに美しい音色なんですけど、あんまり耽美的な感性は前面に出てませんね、
 それでいてポップ度も高くて、80'sエレ・ポップ好きには胸キュンな作品なのです。ですので、訃報はとにかく残念なところ。
 
 ロマンティックな朝モヤのアンビエント・ハウス『Birds』で始まり、続く『Your Mouth』はプロパガンダとかを彷彿とさせるZTTレーベル的なエレ・ポップ
 ピコピコしたキュートなポップさに実験的なヴォーカルの塊が有無を言わせぬ迫力の『Stay Away From Being Maybe』、柔らかな電子音がふわふわ漂うエレクトロニカ・ポップ『Made A Tree On The World』とか、佳曲が続きます。
 80'sファンとしては『Helen Of Troy』がお気に入り。ビヨビヨしたシンセ音なんかはニュー・オーダー的で、ゴシックなポップさが往年のエレ・ポップ好きにはたまりません。
 
 訃報を知った後にアルバムを再度聴いたら、心の奥底に向かって沈んでいく音の渦に巻き込まれそうになる『Immolate Yourself』が、実に印象的に聴こえました。
 
 
 Immolate Yourself