本日の1枚 Frances Mckee

 Frances Mckee / Sunny Moon (CD)

Sunny Moon

Sunny Moon

 
 元ヴァセリンズのフランシス・マッキーが2004年にリリースした初のソロ・アルバム。
 なのでヘタウマ・キュートなヴォーカルのギター・ポップ、て勝手に想像してたんですけど、聴いてみたらこれが大違い。
 まず歌声がすっかり成長していました。どことなく憂いを帯びた包容力のある歌声で、悲哀の果てに滲み出る優しさなんかが感じられます。
 ま、でも、舌足らずなヴォーカルは相変わらずで、キュートなのはキュートなんですけどね。
 
 そして肝心の音楽。轟音ギターな1曲目が過ぎ去ると、後はただフォーキーな楽曲が続きます。
 優美なオーケストレーションがついたりはしてるものの、基本はいかにも英国らしい内省的なフォーク・ソング。陰鬱なんだけど、それでいてポップでもあります。ちょいとアシッドな感性もまた素敵です。
 そんなアシッド・フォーキーな楽曲に前述の歌声が見事に映えていて、地味ながらなかなかの名盤であると思います。
 
 まず冒頭の『The Kindness Of Strangers』は、轟音ギターが鳴り響くシューゲイザーな楽曲に、呟くような歌声が儚く美しい。
 続く『The Country Song』は、シンプルながら密やかなサイケさが滲み出てて、アルバムでは一番のお気に入り曲。淡々と情念を吐き捨てる歌声は、やさぐれアストラッド・ジルベルトって感じで、とっても素敵なのです。
 深い森に差し込む光のようなフォーキーさの『Silence Will Do』、焦燥感がグルーヴ感にもつながる『You Know Who I Am』、いかにも英国フォーキーな『Drink In The Sun』、耽美にノイズを奏でるギターに儚い歌声が素敵な『Wasted』とか、しんみりと聴きほれるアルバムですよ。