本日の1枚 The Wind In The Willows

 The Wind In The Willows / The Wind In The Willows (CD)

Wind in the Willows

Wind in the Willows

 
 ニュー・ヨークのヒッピー7人組バンド。1968年にリリースされた唯一のアルバム。
 決して売れたバンドではないのに、検索すれば結構バンド名が出てきます。その理由は、ブロンディのデボラ・ハリーが在籍していたからなんですね。
 ジャケの印象どおりやや地味な印象の歌声を聴かせるデビー。その分だけシンプルな美しさが光っているように思えます。
 
 ママス&パパスを例に出される楽曲は、確かにソレっぽいサンシャイン・ポップもあるんですけど、オールドタイミーな味わいの曲もあったり、どサイケな曲もあったり、かなり多様です。地味だけど佳曲が目白押し。
 楽曲もいいですが、男5女2の混声コーラスもいい感じです。ママス&パパスほど洗練はされてなくて、ちょいと素人っぽい、けれどピュアな美しさとハッピーさを湛えたコーラスです。
 
 オープニングの『Moments Spent』は、英国的な陰影が印象的なフォーキー・ポップ。デビーの歌声もなんだか凛とした気品を帯びています。
 が、続く『Uptown Girl』が始まるとついついずっこけちゃいます。オールドタイミーにファニーなジャグ・バンド風の曲調にウキウキしちゃうんですけど、美しくもファニーに跳ね回るコーラスも素敵で、こりゃ参りましたなぁ。
 箱庭的チェンバー・ミュージックなサイケ・ポップの『So Sad』、早口な歌声がファニーなギター・ポップ『My Uncle Used to Love Me But She Died』を挟み、8分も続くモロにサイケな『There Is But One Truth, Daddy』へ。つぶやきヴォーカルまでもドローン系で。
 ソフト・ロッキンなアレンジに重厚なコーラスも映える『Friendly Lion』やアノラック的な『Park Avenue Blues』や『Little People』、サイケなギターが唸りをあげる『She's Fantastic And She's Yours』、ラストはまた思い切りサイケ感を爆発させる『Wheel Of Changes』で締め。
 いろんな色合いのカラフルなポップさを楽しめるアルバムですよ。
 
 
 Uptown Girl
 
 
 Friendly Lion