本日の1枚 Clearing

 Clearing / Clearing (CD)
 
 
 米国ニュー・イングランドの男女混声フォーク・トリオ。1972年に自主制作されたセカンド・アルバムで、レア盤ですが韓国Bella Terraから再発されました。
 アコギなどを中心としたシンプルなサウンドとジェントルな歌声によるイノセントな美しさが素晴らしいのです。特に儚げな女性ヴォーカルがたまらない。
 
 前半(A面)は英国フォークの影響も色濃いアシッド・フォークな楽曲が続きます。メロディも歌声もアレンジも儚げで憂いを帯びているんですけど、じんわりと幸福感も伝わってくるような楽曲。暗闇に穏やかな光明が差し込むような素敵な味わいがあります。全体的に滲み出るヒッピー風のテイストも好し。
 後半(B面)になるとコロッと変わって米国にオールドタイミーな音楽が始まります。ファニーなウキウキ感がこれまた好いのですよ。
 
 オープニングの『Morning Has Broken』からもう胸キュン。美しい歌声とアコギ、ハープシコードによるサウンドの素朴な美しさが光ります。
 続く英国フォーク風の『Morning Light』は、優しいフルートの音色と儚い女性コーラスが印象的。静かなメランコリックさも素敵な逸品
 民族音楽テイストの『Sunshine Man』での女性ヴォーカルは、歌い方のせいかスラップ・ハッピー的に聴こえました。
 ピアノの音色も儚い『She's Leavin'』、優しい男女の歌声にじんわりきちゃう『The First Time』と、ここまでは英国フォーク風の楽曲が並びます。
 ところが『The Church Where We Got Married』で突然オールドタイミーに。以降、ちょいとファニーでウキウキくるようなヒップなフォーク・ロックがしばらく続きます。
 『Seth』なんて、前半の流れからは想像もできないバカっぽい男性ヴォーカルに思わず微笑んでしまいますね。
 また静かな曲調に戻り、ピアノと女性ヴォーカルで綴る『My Father』。この曲の寒々しい空気感とそれに反する暖かな振動がとても好きです。
 ラストは室内楽テイストな『Clearing』で締めくくり。穏やかな躍動感がこれまた素敵な曲なのでした。
 どの曲も地味だけど良曲ばかりで、ずっと聴ける愛聴盤になりそうです。