本日の1枚 Flora Purim

 Flora Purim / Open Your Eyes You Can Fly (LP)

Open Your Eyes You Can Fly

Open Your Eyes You Can Fly

 
 夫のアイアート(アイルト)はもちろん、エルメート・パスコアル、エグベルト・ジスモンチジョージ・デュークアルフォンソ・ジョンソンロン・カーターなど豪華メンバーが参加した、1976年リリースの作品。
 滅多矢鱈と打ち鳴らされるパーカッションにベースのグルーヴィな地響き、軽やかにファンキーなギター、グニャグニャに舞うシンセ、繊細なストリングスなどが織りなす、ゴチャゴチャに混沌とした美しい世界観がすごい。なんとなくエルメート色が強いように思えます。
 そんなアヴァンギャルドな演奏の中、意外にキャッチーで親しみやすいメロディを辿るフローラ・プリムの歌声は、やはりアヴァンギャルドでかつ親しみやすい。ふわふわと浮遊してるんですが、いつにも増して「ねじれ」感が激しく、聴いてると頭がクラクラきちゃいます。
 
 演奏も歌声も、アルバム全体的に幻想的な雰囲気に包まれていて、そのフワフワな浮遊感はちょいとミナス風であります。
 土着的で洗練されていて、どんよりと白く眩いモヤに覆われた美しさが輝くアルバムです。
 
 タイトル曲『Open Your Eyes You Can Fly』は、チック・コリアの曲。アルフォンソのスリリングなベースが印象的ですが、浮遊する彼女の歌声もまたスリリング。ジョージ・デュークのエレピもグルーヴィな逸品です。
 続く『Time's Lie』も、チック・コリアの曲。アーバン・メロウに始まり、高速化するとともにファンキーなブラジリアン・グルーヴが叩き出されます。歌声以上に浮遊感いっぱいのフルートはエルメート・パスコアル。
 
 ジスモンチのギターも歌声も美しい『San Francisco River』などを挟み、エルメート・パスコアルらしいネジレ感が素敵な『Andei』。この曲では、各人のソロ・プレイを堪能できます。
 そしてラストの『White Wing / Blank Wing』も、エルメートの曲。ビリンバウが鳴り響く幻想的なサウンドの中を、ヘニャヘニャと笑ってるか泣いているかのような異次元のスキャットが浮遊します。でも美しいし、なんとも恐ろしい魅力に溢れた曲です。