本日の1枚 Sade

 Sade / Love Deluxe (CD)

LOVE DELUXE

LOVE DELUXE

 
 1992年にリリースされた4枚目のアルバム。
 このアルバムに対する当時の評は、ジャケどおりに虚飾をすべて脱ぎ去りシンプルなサウンドで内省的な世界観を表現した、という感じでした。
 僕もまぁ当時はそんな感じで聴いてて、そして重い雰囲気はシャーデーの作品の中でも最高だと思ってたんですけどね。すごく久し振りに聴いてみて、結構ゴージャスな音作りで、しかもなんとなく軽い音に聴こえちゃいました。
 いかにも「作り物」なアシッド・ジャズに聴こえてしまいます。少々残念。
 けれども、音のほうはともかく、彼女の歌声は文句なしに素晴らしい。過去作品よりも哀愁、憂い、諦念などを強く感じますし、それによりクールな魅力が一際輝いてますね。(離婚後に録音したんじゃなかったっけな。)
 
 冒頭の『No Ordinary Love』から、内省的な歌声が響きます。情念歌謡のような熱さも秘めながら。
 レゲエ風味なグルーヴィさの『Feel No Pain』、穏やかなリゾート感のある『I Couldn't Love You More』とかを挟んで、ヒット曲となった『Kiss Of Life』。ひんやりとしたこのアルバムの中では暖色系な楽曲で、淡々と綴られる歌声も素敵です。メロディもキャッチー。
 
 当時最もお気に入りだったのは『Cherish The Day』。ぼんやりとした雰囲気のアンビエント・ハウス風味のサウンドと、哀愁を帯びた歌声の妙が印象的でした。
 『Bullet Proof Soul』などの安っぽいシンセの音色は、今聴くとどうにもイマイチに聴こえてしまいますが、音数の少なさで彼女の歌声の魅力を浮かび上がらそうとした手法など、やっぱりなかなかに名盤だとは思います。
 
 
 Kiss Of Life
 
 
 Cherish The Day