本日の1枚 Contraband

 Contraband / Contraband (CD)

コントラバンド(紙ジャケット仕様)

コントラバンド(紙ジャケット仕様)

 
 スコットランド出身のエレクトリック・トラッド・バンド。ストリングスのアンサンブルなども美しいけれど、やはりヴォーカルのメイ・マッケンナの歌声の美しさに尽きます。
 清々しいんだけど力強く伸びやかな歌声。同系統の英国フォーク歌姫にあるような凛とした気品は薄いのですが、その代わりにとてもふくよかでゴージャスな響きがあります。見事な具合に熟れた歌声なんですが、このとき彼女はまだ10代だったのですね。
 
 歌声も豊かですが、演奏もそれ以上に豊か。正統的でありながらも軽やかなポップさが抜群なギターやマンドリン、ヴァイオリンなどの音色。グルーヴィにリズムを刻むドラムやベース。さりげなく魅せるテクニックが凄いですよ。
 結構スリリングな演奏にも関わらず、あくまでも長閑な雰囲気が漂う世界観も素晴らしい。
 
 冒頭の『Rattlin' Roarin' Willie』から、いかにもスコットランドなトラッド・ロックの魅力に溢れています。ベースやドラムなんかは意外にも明確に「ロック」してて、トラッドな軽やかさとロックなグルーヴィさのミクスチャー感が素敵なんです。
 『The Devil's Fiddle』なども同様に唸りをあげるベースに支えられてて好いのですが、特にお気に入りは『Stainforth Blues』。その軽さとグルーヴィさにサイケな色彩が添えられていて、楽しげにも次々と姿を変えていくサウンドにクラクラきちゃいます。メイ・マッケンナの歌声も軽やかにグルーヴィで。
 
 サイケデリック・ポップな趣の『On The Road』、あの「ウィリアム・テル序曲」のメロディをポコポコヘッドで演奏(!)した『Alec's Interlude』、メイ・マッケンナの歌声を堪能できる『The Banks Of Claudy』、ブラスの音色も穏やかに跳ねるラスト『Edward Sayers' Brass Band』など、インストも含め、捨て曲のない傑作であります。