本日の1枚 Roman

 Roman / 5 Minutes To Match (CD)

5 Minutes to Match

5 Minutes to Match

 
 ドイツの KARAOKE KALK から2003年にリリースされた、歌ものエレクトロニカなアルバム。
 ユニット名どおりにロマンチックなサウンドは、音というより空気感が1980年代のシンセ・ポップ的に聴こえてきます。
 ジャケに大写しされた顔はなんかちょっと情けない雰囲気が漂ってますが、歌声もまた情けない。
 基本的にエレクトリック・ソウルな楽曲が中心なのですが、その情けない歌声のせいでどうにもヘボヘボな「弱さ」が前面に押し出されてきますね。歌声が力強ければ、骨太にメランコリックなエレクトリック・ソウルに聴こえるかもしれない。
 しかしながら、僕はヘナチョコなポップ・ソングが好きなもんですから、その「とほほ」感がまた魅力的に聴こえるのです。
 
 冒頭の『That's What You Say』は、ストリングスなどの流麗なアレンジもアーバンなエレクトリック・ソウル。途中ちょいとボッサに展開したりする部分なんかは、間の抜けた歌声が妙にハマッています。
 ムーディなホーンがなんか面白い『Radiosilent』、ぶつ切りのリズムに大仰にメランコリックなメロディが不思議と耳に馴染む『Grow An Idiot』、どこかXTC的な『Friday Exorcism』、泣きのテクノ・ポップ『You've Done I』とか、いまいちパッとしないけど味のある曲が並びます。
 お気に入りは、モロにボッサな生音エレクトロニカ『Mums Don't Worry』。ま、これもいまいちパッとしない曲なんですけど、情けない歌声がボッサなリズムとスパニッシュなギターに結構合うのですよ。