本日の1枚 Perfume その2

 Perfume / トライアングル (CD)

トライアングル(初回限定盤)

トライアングル(初回限定盤)

 
 昨日は3人の歌声のことを書いたんですけど、正直言うと、別にどれが誰の声だかわからなくても全然構わないと思っていたりします。
 さて、今日の話題は歌詞。
 
 ずっと昔、たぶん20年以上前のことですが、何かの雑誌で読んだコクトー・ツインズへのインタビュー記事がとても印象深く心に残っています。
 コクロー・ツインズの日本盤のアルバムに歌詞カードが付いていることへの不満を語っていました。その歌詞が間違っていたらしいのですが、その正誤ではなく、歌詞カードの存在自体を否定していたのです。
 「エリザベスの発音はイギリス人でも聴き取れないんだよ。」
 彼らはインタビューでそう答えていました。
 
 歌詞を聴かないことを前提としたポップ・ソング。聴き手の問題ではなく、作り手として歌詞の意味に重きを置かない姿勢は、当時の僕にとっては非常に衝撃的でした。
 コクトー・ツインズの耽美な世界観の中に流れるパンクな精神を垣間見たような気がして。
 
 さて、以前にブログで「トライアングル」収録の既発売シングル曲について、その凡庸な歌詞に文句を書いたことがありました。
 「Complete Best」の頃の毒々しい感性に溢れた歌詞をとても魅力的に思ってたので、普通にJポップな歌詞につい反感をもってしまったのです。特に「がんばろう」系の歌詞は大嫌いなので。
 
 けれどもアルバムを通して聴いていて、もう歌詞なんてどうでもいいように思えてきましたね。
 大事なのは、3人の歌声、声質を活かした語感の「ことば」。
 
 例えば(歌あり)1曲目の『love the world』での、「刺激的 ほら素敵」なんて部分にグッときちゃいますね。背後に舞う軽やかなシンセ音との対比で浮かび上がる語感の響きがとっても素敵です。
 『edge (-mix)』の開始直後のつぶやくような歌声なんて、何を言ってるんだか全く分からないけれど、もうキュートでたまりませんから。
 
 ということで、凡庸な歌詞と批判的にとらえた自分こそ、音楽に対して凡庸な接し方しかできてなかったのだと反省したのでありました。
 
 (その3に続く・・・)