本日の1枚 The Rising Storm

 The Rising Storm / Calm Before... (CD)

Calm Before & Alive Again

Calm Before & Alive Again

 
 米国のガレージ・サイケなバンド。1967年に自主制作で500枚だけリリースされたレア盤。
 ARF! からの再発盤には、1982年の再結成ライヴも合わせて収録されています。
 addsomemusicさんがブログで「ドリーミー・サイケ〜メロウ・サイケ」と紹介されていて(http://d.hatena.ne.jp/addsomemusic/20090620)、思わずポチっといってしまったモノ。
 
 まずはGS歌謡な『Don't Look Back』で幕を開けます。ちょいと間の抜けた雰囲気も吹き飛ばす疾走感がカッコいいんですけど、曲展開や叫び声の挿入など、やっぱどう聴いてもGS歌謡だ。
 ところが続く『To L.N. / Who Doesn't Know』は、美しいメロディがメロウに響くドリーミー・サイケな逸品。ふにゃふにゃした情けない男性ヴォーカルもまた曲調にピッタリで素晴らしい。
 
 以降、躍動感あふれるGS歌謡風な曲と美しいドリーミー・サイケな曲を繰り返していきます。
 前者では、音質のせいなのかダビーに聴こえる『I'm Coming Home』、キャッチーなメロディを囁く歌声と勢いある演奏の構成が印象的な『She Loved Me』が好み。
 後者では、コーラスのへなちょこ感も素敵な『A Message To Pretty』(ラヴのカヴァー)、薄ぼんやりと儚げな音処理も素敵な『Frozen Laughter』が好みです。
 
 一番のお気に入りは、ヴォーカルと演奏のヘナヘナ感がアノラック的な『Mr. Wind』。まずもうイントロの情けないドラムとギターのフレーズに心奪われましたが、しょんぼりとつぶやき続けるこれまた情けない歌声がなんとも素晴らしい。
 でもメランコリックなメロディもいいし、ぼんやりと浮かび上がるアレンジも美しい。非常に繊細なドリーミー・サイケ名曲であります。
 
 なんでも学生バンドが卒業記念に制作したアルバムらしいのですが、このクオリティの高さは何なのか。
 線の細いヴォーカルが繊細で洗練された雰囲気を醸し出したり、躍動感あふれるリズムに微妙についていけてない演奏が侘しいメロウさを醸し出したり、そんな偶然が重なって奇跡的に完成されたのでしょうね。
 
 
 Don't Look Back