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 Nick Garrie / The Nightmare Of J.B. Stanislas (CD)

The Nightmare of J.B. Stanislas

The Nightmare of J.B. Stanislas

 
 英国のフォーク・シンガー。1969年にフランスで録音されたアルバム。プレス数が少なくレア盤でしたが、Rev-Olaから再発されています。
 「英国サイケ・フォークの名盤」との評判から購入したものですが、聴いてみて想像外の明るいアレンジに驚かされました。
 プロデュースはシルヴィ・バルタンの兄、エディ・バルタン。なのでフレンチ・ポップ的なフィーリングが随所に感じられるのです。特に管弦楽器のスウィートな使い方は、英国的な陰影はほとんど無くって、もうモロにフレンチしてます。
 
 特筆すべきはメロディの秀逸さ。微妙に憂いを帯びつつも、柔らかでキャッチーなメロディは、(英国の)ニルヴァーナと比較されることも頷けます。
 その繊細なメロディと甘くドリーミーなアレンジのせいで、確かにフラワーな空気も感じられますね。サイケ・フォーク名盤との評判はこのへんからきてるのでしょうか。
 ただまぁサイケ・フォークというよりも英国ソフト・ロックな雰囲気ですよ。ポップ度も高いですし。
 
 まず冒頭のタイトル曲『Nightmare Of J.B. Stanislas』で、まるでスウィート・ソウルなアレンジにビックリ。そんな音の中を浮遊するなよなよした歌声がなんとも好いのです。
 続く『Can I Stay With You』でも、管弦楽器のドラマティックな盛り上がりについていけない線の細い歌声が浮かび上がり、なるほどこのアルバムの魅力が確認できます。
 
 で、突然ラグタイム風にハッピーな『Bungles Tours』、音だけ米国泥くさ系な趣の『Ink Pot Eyes』、歌声まで変えてカントリー調の『Queen Of Queens』、ガレージ・サイケ風な『Queen Of Spades』とか、何でもありなとこも好し。
 一番のお気に入りは、華麗なストリングスを中心に管弦楽器のカラフルなアンサンブルが目まぐるしく装いを変化する、万華鏡的なサイケ・ポップ『Wheel of Fortune』でした。
 
 
 The Nightmare Of J.B. Stanislas