本日の1枚 SPK

 SPK / Machine Age Voodoo (LP)

Machine Age Voodoo

Machine Age Voodoo

 
 オーストラリアのノイズ/インダストリアルなバンドが1984年にリリースしたサード・アルバム。
 SPKといえば、ステージ上で火炎放射器を使用して客を燃やしてしまった、とか、随分と酷い伝説が話題になっていました。で、当時、ノイズ好きな友人から強く薦められて、それでこのアルバムを買ってみたんですけど、「ただのエレ・ポップじゃないの!」と驚いた記憶があります。
 実はセカンドまではノイズ界の先端を突っ切っていたこのバンド、サード・アルバムではなぜかダンス・ミュージックに接近、結果として「ただのエレ・ポップ」なアルバムになってしまいました。
 
 いや、「ただのエレ・ポップ」と言ってしまうと語弊があります。
 確かにダンス・ミュージックを基調としながらも、ソリッドなメタル・パーカッションによるボディ・ビートを鳴り響かせて、そしてなぜかオリエンタルなテイストのアレンジで。
 このアルバムからヴォーカルに迎えたシーナンは中国系の女性らしく、これまたオリエンタルな雰囲気を纏っています。
 そんな音と歌声とで、モンド・ミュージック的な魅力に溢れたアルバムに聴こえます。褒め言葉として、「ちょっと珍妙なエレ・ポップ」と言っておきましょう。
 
 (日本盤LPでは)冒頭の『Machine Age Voodoo』は、曲展開に加え挿入されるSE音なんかもZTT的なエレ・ポップ。いや、ものすごくポップなんですけど。
 エレクトロ・ファンクな『High Tension』、なぜかフュージョン風なサックスをフィーチャーした『Flesh And Steel』、もうちょっと過激にならないかと展開を期待させつつ終わってしまうエレクトロ・ポップ『Metal Dance』、普通にエレクトロ・ディスコな『Crime Of Passion』など、やっぱりどう聴いても「ただのエレ・ポップ」だなぁ。きっとSPKファンには無視されてるアルバムなんでしょうけど、僕は好きなのでした。
 
 
 Metal Dance