本日の1枚 東てる美

 東てる美 / 感触 (CD)

感触

感触

 
 日活ロマンポルノ女優、東てる美が1978年にリリースしたセカンド・アルバム。
 妖艶な表情のジャケも素晴らしいですし、フェロモン歌謡を期待して聴き始まると、1曲目『闇に白き獣たちの感触のテーマ』でまずは肩透かし。普通に優しげな歌声で、普通にいい感じの歌謡曲なんですが、驚いたことに作詞作曲とも本人の名前が。
 実はこのアルバム自体が、東てる美セルフ・プロデュースによるもの。ちなみに映画「闇に白き獣たちの感触」では、脚本から監督まですべて本人が手掛けられてます。才人ですねー。
 
 エロ的な観点では、続く『Lesbian』で大満足。緩やかに洒落たAORサウンドに、タイトルどおりレズビアンな語りをのせたセクシー・トーキング歌謡。冒頭の「レコードでもかけましょうか」なんて語りにもう参りましたが、中盤以降に延々と続く喘ぎ声がやっぱり素敵。サウンド面も上質な名曲であります。
 で、続く『白い滑走路』が僕にとっては問題曲。イントロがラヴ・アンリミテッド「愛のテーマ」まんまな飛行機系サウンド。ストリングスやリズムが産み出す浮遊感と、それに全然合わない普通に歌謡曲してるメロディや歌詞もまた好し。
 
 ただ、AOR系なアレンジを随所に挿入しながらも、結局は情念系歌謡曲に終わってしまうモノが多くて残念な部分もあり。特に『タイム・リミット』なんかがそうですね。
 まぁ、求めてる視点が違うから仕方ないのですけどねー。でも偶然の産物にしろ多様な音楽ファンが魅力を感じる輝きをもってるアルバムだと思います。『サマータイム・ラブ』とか、ボッサ歌謡として普通にいい感じですし。
 とりあえず『Lesbian』のためだけにでも、買った価値はあったと満足しております。スナップ満載のブックレットも素敵だ!