本日の1枚 Tom Lellis

 Tom Lellis / And In This Corner... (CD)

アンド・イン・ディス・コーナー

アンド・イン・ディス・コーナー

 
 白人男性ジャズ・シンガー、トム・レリスが1981年にリリースしたファースト・アルバム。
 変幻自在に跳ね回る、甘いような渋いような歌声が素敵なのですよ。
 基本的にブラジル寄りなアルバムなんですけど、この盤の魅力はまずまぁ何といっても冒頭の『Lucky Southern』に尽きるでしょう。
 軽快なブラジリアン・ジャズなんですけど、歌声はもちろん、ピアノやヴァイブなどの演奏がとにかく軽やかに疾走していきます。その「爽やかな風」な感性が素晴らしい逸品です。
 
 続く『E.S.P.』も高速なんだけど、こちらは演奏も歌声もスリリング。
 トライバルな趣の『Man From Tanganyika』、軽快さの中にグルーヴ感やトロピカリア感を秘めたブラジリアン・フュージョン『One On One』とか、実に聴き応えのある歌声。
 一番のお気に入りは、ちょいとエクスペリメンタルなブラジリアン・フュージョンの『Lluvia』。男性版フローラ・プリムみたいな歌い回しが凄いですよ!
 
 ちょいと間の抜けたジャケも好いですね。
 ボクシングのKOシーンでありながら、この脱力感はいったい!