本日の1枚 Orange Juice

 Orange Juice / You Can't Hide Your Love Forever (CD)

キャント・ハイド・ユア・ラヴ・フォーエヴァー

キャント・ハイド・ユア・ラヴ・フォーエヴァー

 
 世間では元祖ネコアコと称される、1982年にリリースされたファースト・アルバム。
 ただ例えばアズカメなんかと比べると、楽曲も音もなんとなく小汚いイメージがあります。演奏も下手くそですし、ソウル・ミュージックなどを取り入れようとして失敗している感もあり、何より野太い男性ヴォーカルについてはネコアコ・ファンでも賛否が別れるところでしょう。
 というか、そもそもアコースティック・ギターが聞ける曲は1曲だけですし。
 
 でも僕はその方向性の定まらないヨレヨレな音楽にとても魅力を感じます。パステルズとかのヘナチョコさに対する魅力と同質のもので、それは確かに後進のギター・ポップ・バンドの源流となっているかもしれません。
 また、ほとぼしる青臭さについては、間違いなく「元祖ネオアコ」と称してもよいもの。
 
 まずオープニングの『Falling And Laughing』。イントロのギターのキラメキ感でもうグッときちゃいますね。メロディの素晴らしさの裏で、意外にパンキッシュなベースがお気に入りの逸品。ラスト近くのあたふたしたヴォーカルも好い。
 おっさんがよろよろと歩いているような哀愁感の漂う『Untitle Malody』、複雑なリズム展開が凄いことになってる『Tender Object』、普通に好いメロディのギター・ポップ『Dying day』、
 アル・グリーンを情けなくカヴァーした『L.O.V.E. Love』、幅広い嗜好が垣間見える『Upwards And Onwards』、青春っぽい勢いが微笑ましい『Felicity』。
 
 コロコロと姿を変える疾走感から訳の分からない高揚感に包まれる『Three Cheers Four Side』も好きなんですが、今も昔も一番のお気に入りは、ジェームズ作の『Wan Light』。
 ヴォーカルもジェームズが担当しているのですが、そのヘナチョコぶりが素晴らしいのです。キラキラと青春してるギターの音色も親しみやすいメロディもラヴリーですけど、特にラストの「パパパー」な歌声は胸キュンなのです。
 
 ちなみに、僕が持ってるのは1991年にポリドールから再発されたCDなんですが、ライナーをフリッパーズ・ギターの2人が担当。
 オレンジ・ジュース、ポストカード・レーベルへの愛情溢れる紹介文を書かれていますよ。
 
 
 Falling And Laughing
 
 
 L.O.V.E. Love