本日の1枚 フレネシ

 フレネシ / キュプラ (CD)

キュプラ

キュプラ

 
 なんとなくブログに取り上げる時期を逸してしまっていたんだけど、もう年末なのでそろそろ。
 昔ファンでした、なんて書くとまぁアレなんですけど、10年ほど前に京都のBambiniてレーベルからリリースされた作品は大好きで聴いてました。ちなみに、恵文社とかでプッシュされてたことがあったので、おそらく京都での彼女の知名度は他市よりもかなり高いことでしょう。
 で、乙女音楽研究社から今年の6月にリリースされたこのアルバム。
 小洒落たジャジーなポップさ、フレンチ・ポップ系なノスタルジックさ、そしてキュートなウィスパー・ヴォイスなど、10年前に初めて聴いたときと同じような感触ではあるんですけど、ちょっとしたアレンジや言葉遣いのセンスは圧倒的に密度が上がってますねぇ。
 『覆面調査員』とか『超臨界流体』なんてタイトルのせいなのか、レコ屋の謳い文句には「相対性理論ファンにもオススメ」て書かれてるんですけど、歌詞のセンスに本質的な違いを感じます。
 言葉遊びで珍妙な世界観を演出する相対性理論とは異なり、内在する狂気が言葉の端々に溢れ出してるようなイメージでしょうか。
 
 70's歌謡ポップス系だが爆弾な雰囲気の『仮想過去』、可愛らしいチープな楽器の音色もキュートな『覆面調査員』、
 軽く南国風なアレンジと語呂のセンスがクセになる『スカイバストーキョー』、怪しいノスタルジックさが浮かび上がる『スプロウル』や『ローウィッツアーク』、
 ジャジーな演奏に響くピコピコな感性も好い『砂と硝子』、目まぐるしい躍動感も素敵にスウィンギンな『マージナル 』、
 パリの街角な音色が郷愁を誘う『サバラン』、根底にハウス魂を感じるキュート・トイ・ポップ『超臨界流体』、どれもちょっとひと捻りあるキャッチーさが好いのです。
 特にお気に入りは、ちょいとミナス的な浮遊感たっぷりのメロウさとキュートな歌声がたまらない『nero』、シンプルにボッサな曲調に狂気の迸る歌詞が素敵な『わたしのイエスマン』の2曲でした。
 
 
 覆面調査員