本日の1冊 SOSの猿
- 作者: 伊坂幸太郎
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
- 発売日: 2009/11/26
- メディア: 単行本
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ひきこもり青年とエクソシストの家電販売員、株の誤発注事件を調査する男、そして、斉天大聖・孫悟空。
そんな登場人物からはワクワクするようなストーリー展開を期待しそうですが、残念ながら最後までただ淡々と物語が進んでいきます。最後まで、ビックリするような展開は無し。
孫悟空は大暴れなんてしません。ただ囁きかけるだけ、物語ることを。
そして、伏線として散りばめられていた様々なSOSが物語を紡ぎ始め、ある(あった)かもしれない未来(現在)が絡まり合うことにより優しく訪れるカタルシス。
これもまたゼロ年代の終わりに相応しい「救済」ではなかろうか。
まだ穏やかな余韻を楽しんでおりますが、この読後感こそ伊坂作品の醍醐味でありましょう。