本日の1冊 粘膜蜥蜴

粘膜蜥蜴 (角川ホラー文庫)

粘膜蜥蜴 (角川ホラー文庫)

 「新感覚ホラー」みたいな紹介に釣られて読んでみたら、あらまぁ基本的には冒険小説なのでした。
 それも子供の頃に読んだような、純然たる冒険譚であります。
 ただ、そこに加えられるエログロナンセンスなスパイスが凄まじい。
 そして間の抜けた登場人物たちが織りなす、救いようのないバカらしさ、イマイチ狂気に踏み込めない中途半端さが何とも素晴らしい。
 特に全体を包むおとぼけ感と描写のグロテスクさが好いですなぁ。
 ラストの大どんでん返しも素敵。こんなバカらしいお話が最後に、こんな感動的に終わってしまうなんて。