本日の1枚 John & Beverley Martyn

 John & Beverley Martyn / The Road To Ruin (CD)

Road to Ruin

Road to Ruin

 
 ジョン&ビヴァリー・マーティンのデュオ名義としては2作目のアルバム。1970年のリリース。
 ちょっと怖ろしげなジャケは陰鬱なフォーク・ソングを連想させますが、意外にも都会的でジャジーなアレンジが全編に施されています。
 当時のブリティッシュ・ロックっぽさを基調にしながら、「何でもあり」なてんこ盛り感が面白い。それでもゴチャゴチャした印象を抱かせないセンスの良さが素晴らしいですね。
 
 まず冒頭の『Primrose Hill』は、ムーディなサックスで幕開け。投げやりな歌声との相性は好いが、このジャジーさは個人的には微妙。
 しかし続くフォーキーなポップ・ソング『Parcels』での、いかにも英国的な陰影は好いなぁ。ジョンの穏やかなヴォーカルも穏やかな輝きを放つ曲調にもピッタリで。
 そして英国的といえば次曲の『Auntie Aviator』。ピアノの音色なんかはジャジーなんだけど、楽曲全体での肌触りは英国フォークそのもの。彼女の気だるい歌声とやる瀬ないコーラスが放つダウナーな心地良さがたまらない。
 
 『Give Us A Ring』は、ニック・ドレイクに捧げた曲なんですって。米国フォーキーに緩やかな男女ヴォーカルを聴かせます。
 いきなりファンキーに展開する『Sorry To Be So Long』や、さらにラテン系のファンキーさも湛えた『Say What You Can』なんかも面白いけど、『Tree Green』のように普通にフォーク・ロックしてる曲が実はグッときます。
 
 で、お気に入りは『New Day』。静かに鳴り響くパーカッションとジョンのギターの紡ぎが軽やかなグルーヴ感を放っています。
 フルートなどのアレンジはラテン・フュージョン風でもあり、クワイエット・グルーヴィなフォーキー・ソウル感がとても素敵。
 
 オリジナル・アルバムでのラスト曲『Road To Ruin』は、フォーキーなヴォーカル曲がなぜかインスト・ジャズ・ファンクに展開する怪作。
 すっごくカッコいいんだけど、なんでこのアルバムでこんな曲?、と素朴な疑問が・・・。
 
 
 Road To Ruin