本日の1枚 キリンジ

 キリンジ / BUOYANCY (CD)

BUOYANCY

BUOYANCY

 
kobbadiva: 待望のキリンジ新作は、タイトル(BUOYANCY=浮力)どおりに浮遊感でいっぱいのアルバムです。
kobbanova: 新作って、もう発売から1ヶ月以上経ってるじゃないか。こういうのは発売後すぐにレビューするか、それか相当な時間が経ってからじゃないと、タイミング悪くてカッコ悪いんだよ。イヤだなぁ。
kd: 始める前から全否定はやめてくださいよ。無視して始めますよ!えーっと、これまでの打ち込みエレクトロ路線も踏襲しながら、バンド・サウンドも、、、
kn: まぁいいからとりあえず聴き始めようや。
kd: ・・・。1曲目の『夏の光』は、分厚く重ねられたコーラスや音にもかかわらず、あくまでも爽やかな印象を受けますね。
kn: うーむ、まばゆい光のような煌めきがあるんだけど爽やかポップスに終わらず、やっぱどこかヒネクレた感覚が好いなぁ。特にコーラスのちょっとした捻れのセンスが凄い。
kd: 『温泉街のエトランジェ』はエレクトロニクスを効いていて、前作からの路線が引き継がれていますね。
kn: なんとなく2曲目でガラリと世界観が変わったような印象を受けるな。浮遊感は1曲目も同じようにあるんだけど。で、電子音を配しながらも昭和的な温泉の風景を音で描いていることが凄いよ、これは。
kd: 『ホライゾン!ホライゾン!』は、オールド・タイミーな感触もありますね。
kn: こういう何気にいい感じのフォーク・ロック系のアレンジに心意気を感じるな。
kd: 『セレーネのセレナーデ』は、非常にクセのあるメロディですね。
kn: おお、これぞキリンジって感じがするぞ。このメロディの微弱なズレから生じるフワフワ感が素晴らしいのだ。音楽性は違うが、ミナス的な浮遊感でもある。
kd: 後半はスティール・パンを中心にしたイントロが始まります。このあたりも面白いですね。次の『台風一過』ですが、まずはイントロのグルーヴィなギターの響きが印象的ですね。
kn: うむ、ロックしてるな。でも力強いギターとリズムに反し、曲調そのものはぼんやり浮遊してるから面白い。
kd: スティール・パンなどの使い方も面白いですね。
kn: 理由は分からないけど、なんかちょっとギターを弾くプリンスの姿が頭に浮かんだよ。ギターの入り方のせいかな。
kd: 『都市鉱山』は、リズムもメロディの展開も、1980年代のニュー・ウェーヴ・バンドみたいな曲ですね。
kn: ヴォーカルの歌い回しもな。
kd: 『Round and Round』は、『Rain』と同じくレゲエなリズムですが。
kn: でもアコギの刻みは全くジャマイカではないけどな。普通にいい感じにフォーキーだ。いや、やっぱこれは南米の色彩感かな。
kd: 『アンモナイトの歌』は、沈み込んでいくようなダークな雰囲気の楽曲ですね。
kn: けれども、これはこれでまた独特の浮遊感がある。足下の地面がグニャグニャしてるような感覚だな。
kd: ラストの『小さなおとなたち』は、キュートにポップな曲調ですが、歌詞を見ると切ない歌ですね。
kn: 小さな気泡が水の中をでいっせいに浮き立つようなアレンジが好いなぁ。優しさの中に激しさを秘めたような浮遊感だ。
kd: どの曲もこだわり抜いたアレンジが素晴らしいですね。
kn: メロディにしても音の配置にしても、微妙に予想を裏切り続けるようなんだな。それがフッと抜けるような浮遊感につながっているのだと思うよ。
 
 
 (前曲ちょっとずつ紹介)
 
 
 温泉街のエトランジェ