本日の1枚 MIJ

 MIJ / Yodeling Astrologer (CD)

Yodeling Astrologer (Dig)

Yodeling Astrologer (Dig)

 
kobbadiva: 2本日のお台は、アシッド・フォーク裏名盤と評判の、1969年にESPからリリースされたこのアルバムです。ESPといえばちょっと変わったフリー・ジャズなどをリリースしていたレーベルですが、なんとこのMIJという人は、公園で歌っているところをESPのオーナーにスカウトされ、その翌日にレコーディングしたそうですよ。
kobbanova: しかもドラッグでラリってる状態のまま、たった3時間で録音し終わったそうだな。だから、そんなアルバムを「裏名盤」とか言ってありがたがるんじゃないよ、まったくもう!
kd: でもそういうの好きでしょ?
kn: まぁな。そんなエピソードも凄いが、サウンドもまたヘンテコで凄い。普通に12弦ギターをジャカジャカしてるフォーキーなサウンドを、エコーをかけまくって無理矢理ヘンな音に仕上げている。そのあまりにも短絡的な手法が想定外のサイケデリックな世界観を築き上げるのだ。
kd: ヨーデルな歌声もサイケっぽいですね。
kn: というか、全然ヨーデルじゃないよ。ただ単にヘンな高音を張り上げてるだけじゃないか。でもそれがなぜか不思議な魅力があるんだなぁ。
kd: 1曲目の『Two Stars』では、結構ジェントルで甘い歌声を披露していますね。
kn: しかし、その次の『Grok』でヘンテコな歌声が炸裂するぞ。なんというか、断末魔の動物の鳴き声みたいだな。それがさらにエフェクト処理によって珍妙な味わいが物凄いなこりゃ。普通に歌ってる部分でも急に笑い出したりとか、あまりのモンド感に参っちゃうよ。
kd: 確かに全然ヨーデルじゃありませんね。
kn: 他の曲もそうなんだけど、ジャカジャカなギターの響きもなんだか向こうの世界に行っちゃってる感じだ。
kd: 『Little Boy』などは、アシッド・フォーキーなテイストが強いですね。
kn: ちょっとリバーブかけ過ぎだがな。
kd: 『Lookin' Out Today』もストレンジ感がすごいですねぇ。いきなりのヘンなSE音とか。
kn: 歌もいきなり虫声系だよ。けれどこの曲、なんだかベルベッツみたいに聴こえるんだよ。うむ、こりゃ本気でいい曲だ。
kd: うーん、そう言われれば歌い方もルー・リードのような。
kn: 『Never be Free』はスペイシーな雰囲気や唱法がクラウス・ノミみたいだし、『Look Into The Knight』もラストに近づくにつれ炸裂する珍妙な高音ヴォイスがやっぱ凄いよ。
kd: 評判どおり裏名盤と言ってもよさそうですね。
kn: いや、やっぱり珍盤なだけだと思う。
 
 
 1曲目から3曲目まで(Two Stars、Grok、Romeo & Juliet)