本日の1枚 Judee Sill

 Judee Sill / Heart Food (CD)

Heart Food

Heart Food

 
kobbadiva: ジョニ・ミッチェルの作品などを手掛けたHenry Lewyをプロデューサーに迎え、1973年に発表されたセカンド・アルバムです。
kobbanova: あくまでも内省的なファーストに比べると、外に向かって開かれていく感があるな。といっても単純に明るくポップになったという意味ではなく、内にこもる暗闇が解放されていくようだ。
kd: でも実際、ポップで親しみやすいアルバムですよ。
kn: うん、だからファーストよりも好きだったよ。最近ちょっと好みが変わっちゃったが。
kd: ファーストでも見事だったオーケストラ・アレンジですが、このセカンドではそこにスライド・ギターやバンジョー、ハーモニカなどの音色が加わり、暖かみが増していますね。
kn: オールド・タイミーな感触が強調されたのは確かだけど、でも何というかとても優美な雰囲気は保たれているな。『The Phoenix』のスライドを聴いてみなよ。なんでスライドがこんなに優美に聴こえるんだろう。
kd: 例えば1曲目の『There's A Rugged Road』、オールド・タイミーな曲調もそうですが、優しい歌声にも暖かみを感じます。
kn: うーん、まぁ暖かいけどな。しかし、この曲はサビで何気なく転調していくセンスが凄いな。『The Vigilante』もカントリー・タッチで長閑なアレンジなんだけど、やっぱ何かこう深い森の風景が浮かんでしまうよ。
kd: あと、ファーストに比べて美しさが際立っているように思えました。例えば2曲目の『The Kiss』とか。
kn: 『The Kiss』の美しさは神々しいな、なんか深遠なものに触れた気にさせる。けれども甘めの歌声とアレンジはソフト・ロッキンな肌触りもあったりして、ともかく名曲であることは間違いないよな。
kd: 『Down Where The Valleys Are Low』ではヴァイブの音色など、都会の夜のジャジーさも感じます。
kn: コーラスもなんだかお洒落ソウル風だな。決してそれがダメだって言ってるわけじゃないぞ。
kd: 『Soldier Of The Heart』は結構ファンキーな曲ですね。
kn: 美しいフォーキー・ソウルだなぁ。この曲大好きなんだよ。
kd: ラストの『The Donor』では、力強いピアノの演奏を軸に、繰り返される祈りの声が印象的です。
kn: 荘厳な美しさだが悲しみに満ちている。明るめのアルバムのラストをこの曲で締めくくった意義をじっくり考えてみたいね。
kd: ところで、再発CDではXTCのアンディ・パートリッジがライナーを書いてますね。
kn: このライナーがまた素晴らしいんだよ。ぜひ一読してもらいたい。
 
 
 The Kiss (live)