本日の1冊 鉄塔 武蔵野線

鉄塔 武蔵野線 (新潮文庫)

鉄塔 武蔵野線 (新潮文庫)

 鉄塔に番号を見つけた少年が、ひたすら番号順に鉄塔を巡っていくロードノベル。
 少年2人がただ次から次へと鉄塔を巡るだけ、それだけなのに、なぜか冒険譚として成立しているのです。
 工事現場に立ち入って怒られたりはするものの、大きな起伏もなく淡々と進む。しかし、なぜか退屈しない。
 所謂トマソン的に少年目線で解説したり、武蔵野線のすべての鉄塔の写真まで添付されたマニアックさも好いんだけど、やはりこの単調さで少年のトキメキを見事に表現したスタイルにただ感心する。
 本作は第6回日本ファンタジーノベル大賞を受賞したとか。そうか、ファンタジーとして読んでもいいのだ。