本日の1冊 フランシスコ・X

フランシスコ・X

フランシスコ・X

 フランシスコ・ザビエルを描いた歴史小説
 苦難に満ちた布教の旅程を淡々と描く文章には著者らしいシニカルさが無いことから、逆にこの作品の異質さを感じる。
 いやしかし、信仰の旅が交易なしには遅々として進めないことや、異国での宗教への誤解や偏見、そして布教のための迎合などには歴史への、特にグローバリズムへの皮肉がわかりやすく提示されている。
 そしてまたザビエルの視点から描かれる日本人の姿もまたアレなもんだ。