本日の1冊 聚楽 太閤の錬金窟

聚楽―太閤の錬金窟(グロッタ) (新潮文庫)

聚楽―太閤の錬金窟(グロッタ) (新潮文庫)

 伝奇小説に西洋のオカルト思想を絡める手法は、「信長 あるいは戴冠せるアンドロギュヌス」以上の奇想に満ちています。
 キリスト教の異端信仰や錬金術が持ち込まれ、そして今作で信長たちに結びつけられるのはジル・ド・レ。秀次の奇行がジル・ド・レの虐殺に絡みつく発想が凄すぎる。
 しかも史実に上手く当てはめ、説得力に満ちた筆力で圧倒されます。
 ショック映画ファンも納得のグロな描写の連続も凄すぎるし。
 イエズス会の使者と服部忍者が手を組んで戦う相手の秘術は、風太郎の忍法を想起される珍奇さでもあります。
 760頁もの大作ですが、面白くて一気に読んでしまいました。