ここ最近読んだ7冊

 腰を痛めて動けず、ゴロゴロしながら時々本をめくってました。
 「苦役列車西村賢太

苦役列車

苦役列車

 冒頭の表現にちょっと引いてしまったものの、溢れ出る男汁、抜けられない貧困と孤独を、ズシリとしかしサラリと描く手法に徐々に惹かれていきました。
 そういや、こんな私小説の感触はここ最近味わったことがない。
 ちょうどギックリ腰で寝ながら読んでたので、腰痛に苦しむ「落ちぶれて袖に涙のふりかかる」がジャストな感じで。
 
 「猫とともに去りぬ」 ジャンニ・ロダーリ
猫とともに去りぬ (光文社古典新訳文庫)

猫とともに去りぬ (光文社古典新訳文庫)

 イタリアの詩人によるファンタジー短編集。20世紀イタリア文学の古典なんだって。
 生活に嫌気がさして猫になり、仲間と「猫座」が無いことに対し抗議デモを起こしたり。魚になった一家がヴェネツィアの水没をくい止めたり。宇宙人がピサの斜塔を占拠しようとしたり。
 手厳しいアイロニーとそれが読後に残らないまろやかなユーモア・センスがなかなか好いんじゃないかと。
 
 「恋文の技術」 森見登美彦
恋文の技術

恋文の技術

 まだ読んでなかったので今さらであるが面白さにグッときた。
 書簡形式でここまで妄想を膨らませることができる著者の技巧に感心し、そして笑い転げる。
 
 「姦の忍法帖山田風太郎 タイトルどおりにエロさ満載の短編集。
 しかも、男根から水を吸収する「忍法馬吸無」など、アホらしさも格別である。
 そして、その馬鹿エロい忍法により、血肉が弾けるスプラッタ描写もまた素敵であります。
 
 「幻獣遁走曲」 倉知淳 猫丸先輩もの。殺人事件などはない「日常の謎」系の短編集。
 ほのぼのした中に光る毒気が魅力の同シリーズですが、これはまぁ本当にほのぼのした作品ばかりでした。
 
 「謎の転倒犬」 柴田よしき
謎の転倒犬―石狩くんと(株)魔泉洞 (創元クライム・クラブ)

謎の転倒犬―石狩くんと(株)魔泉洞 (創元クライム・クラブ)

 女性占い師とその下で働くことになった青年による、コメディ・タッチのミステリ短編集。
 「時をかける熟女」とか、タイトル(だけ)がパロディになってるのも好し。
 
 「狼と香辛料支倉凍砂
狼と香辛料 (電撃文庫)

狼と香辛料 (電撃文庫)

 アニメのサントラは大好きなのであるが、そのアニメも見たことないし、原作も読んだことがない。
 てことで、とりあえず読んでみたらこれがあまりに面白くて参ってしまう。
 中世ヨーロッパな世界観もいいし、商人の取引をヤマ場に据える展開もいいし。
 2人の掛け合いも素直に楽しんで。