ここ最近読んだ3冊

 「人間臨終図巻1」

人間臨終図巻〈1〉 (徳間文庫)

人間臨終図巻〈1〉 (徳間文庫)

 歴史上の人物から芸能人まで、様々な「死」を書き連ねた図巻の1作目。
 年齢別に体系的に網羅される「死」のカタログは、同時に「生」をも描き出している。
 だいたい1人2、3ページ程度に、生前のエピソードと臨終の場面がまとめられていて、その簡潔さゆえに逆にその生と死が突き刺さってくるのだ。
 ちょうどこの本を読んでいる最中に、レイハラカミさんの死を知った。そうか、ジョン・レノンが死んだのも40歳だったよな。
 
 「世界音痴」
世界音痴

世界音痴

 ときどき、ふと思うこと。社会人として色んなことが「平気」になると同時に、音楽を聴いて感動したりする感性が失われているのではないか、とか、漠然と不安になったり。
 さて、歌人穂村弘のエッセイ。
 上に書いたようなことを感じている者にとっては、著者の繊細さから生じる脱力なダメダメさが、哀しくユーモラスであり、そして共感する部分も多い。
 
 「狼と香辛料4」
狼と香辛料 (4) (電撃文庫)

狼と香辛料 (4) (電撃文庫)

 情報収集のため立ち寄った辺境の村でのお話。
 このシリーズの主軸である商人バトルな白熱感は薄いが、前半部分では呑気で人が好さそうに見えた村人達の差別意識やエゴが後半部分に漏れ出てくるとことか、人間ドラマとしての描き方がなかなかに読ませます。