最近読んだ3冊

 「ビブリア古書堂の事件手帖

 入院中の美人な古書店主が安楽椅子探偵役、店員となった本を読めない青年が語り役となるミステリ短編集。
 タイトルどおり古書をネタにしてるんだけど、その選書センスがなかなか素敵であります。
 主人公と店主の関係などはモロにラノベ的でありますが、肝心のミステリ部分は意外にも筋が通っており、そして結構「重い」のです。
 いや、面白かったですよ。続編出たら買っちゃうでしょう。
 
 「ゴランノスポン」
ゴランノスポン

ゴランノスポン

 町田康、久々の短編集であります。
 かなり書かれた年次がバラバラなので前評判どおり統一感のなさを感じるとともに、これまた前評判どおりパターン化された書きぶりが過去作品と類似しているような。「尻の泉」とかね、面白いんだけど。
 しかし面白いとかだけではなく、世界観が浸透してくる文章はやはりさすがだなぁと思い、一気に読了した後は町田節が身体に染み込んでしまっている。
 町田流に訳した源氏物語「末摘花」が素敵。
 
 「セックスメディア30年史」
セックスメディア30年史欲望の革命児たち (ちくま新書)

セックスメディア30年史欲望の革命児たち (ちくま新書)

 さすが荻上チキ、単にエロの歴史を語るだけでは終わらない。
 経済、政治、文化などの各側面から適切に分析し、かつユーモラスな語り口で持論を提示してくる。
 エロ本を殺したのは単にネットが普及したせいだけではなく、業界としての不況への非対応、規制の強化、さらにはユーザの体験の衰退にもよるのだ。
 なんかこれ、ゲーム業界にそのまま当てはまるような。3DSの失策とか。
 古いビジネスモデルが廃れようとも、性欲があるかぎり新たなエロメディアが誕生していくと結ぶラストにも好感。