本日の1枚 Tryad

 Tryad / ...If Only You Believe In Lovin' (CD)

…イフ・オンリー・ユー・ビリーヴ・イン・ラヴィン(生産限定紙ジャケット仕様)

…イフ・オンリー・ユー・ビリーヴ・イン・ラヴィン(生産限定紙ジャケット仕様)

 
 米国フォーク・サイケのレア盤再発。NY出身の男2女1の3人組で、これは1972年に自主制作リリースされた盤らしい。
 3人以外にもスティール・ギターやフルートなどでゲストが参加しているようで、意外にバラエティに富んだアルバムであります。
 しかし基本はアシッド臭がプンプンで、そこから醸し出される微サイケな世界観が素敵。
 演奏は結構オールド・タイミーだったりするんだけど、儚げな女性ヴォーカルはなんとなく英国的に思えます。
 例えば冒頭の『I'm Wonderin' How I Ever Got That Way』なんか、ちょっとヘボめな演奏も含め、レイト80'sネオアコな感性であります。とても柔らかな音色もメロウで心地良く、もうこの1曲目から参っちゃいます。
 
 悠然としたアシッド・フォーク『Columbia Tavern』の後に、ウキウキなカントリー調の『Uptown Suburb Alley』がくるのも好いなぁ。しかもこの曲、左右のチャンネルに男女ヴォーカルを振り分けているので、ヘッドフォンで聴いたらサイケ感が倍増したりします。
 民族調なアコギの響きに、ぼそぼそと男女ヴォーカルが語りかける『Spider Song』では、ゾッとするようなアシッド感と寂寥感にグッときたり。
 
 お気に入りは、男女ヴォーカルのアーシーさが抜きん出ているように思えた『Northern Journey』。サイケ・フォークな趣きですが、穏やかに伸び上がる起伏もとってもドリーミー。
 しかし、一番いっちゃってるのはラストの『Eulogy/Raga』でしょう。タイトルどおりラーガ風でありながら、サイケなオルガンに尺八風なフルート、珍妙な女性コーラスが鳴り響く、まぁどサイケな色調の怪作であります。