本日の1枚 チャクラ

 チャクラ / さてこそ (CD)

さてこそ+5

さてこそ+5

 
 1980年代前半に活躍した伝説的テクノ・ポップ・バンド、チャクラのセカンド・アルバム。プロデュースは細野晴臣であります。
 実は初めて聴いたのですが、噂どおりに素晴らしいアルバムでした。どうして今まで聴かなかったのだろうかと後悔するほど。
 音はまぁ確かにテクノ・ポップ的ではあるものの、南国モンドなインチキ臭い幻想性や沖縄又は本邦土着なエスノ感があったり、なんとなくプログレっぽかったり。ユニークさとアヴァンギャルドさが平然と同居している様もなんか凄い。
 その音も然ることながら、それ以上にやはり小川美潮のヴォーカルの魅力に参ってしまう。曲によって激しく変化するパンクな歌唱は、何をしたいんだかわからないほどに凄い。あっPHEWみたい、とか、あっ戸川純みたい、とか思っちゃったんだけど。
 
 ポップ・グループ直後な雰囲気のリズムなどが、いつの間にかモロ和風になってく1曲目『めだか』でもうグッときましたが、続く『ミュンミュン』で完全にKOされましたよ。
 この『ミュンミュン』、タイトルどおり(?)に歌詞はただ「ミュンミュン」と言い続けてるだけ。しかもそのメロディが微妙に予測を裏切るのも心憎い。
 『おちょーし者の行進曲』は、レゲエ風なリズムに投げやりな歌声が好いし。タイトルどおりマーチに展開していくが、中盤のコロコロした電子音が好きであります。
 工事現場のノイズをサンプリングした『III』、タイトルが素敵すぎる『ちょっと痛いけどステキ』とか、どの曲も面白さの陰に光るアレンジの妙に驚かされます。特に『Free』は凄まじいなぁ。
 
 お気に入りは、「はにほへといろは」の語を音階に合わせて歌う『いとほに』。なぜか中華風な雰囲気でありますが、ふにゃふにゃと捻れた浮遊感とヴォーカルが好いのです。
 あと、5拍子で繰り出されるファンキーさがゴング的に思えた『微笑む』の、ジャーマン・ロック風にピヨピヨした音が繰り返されてるとこなどが好きであります。
 
 今回の再発では、ボートラに5曲が収録されておりますが、細野さんの手が入る前と後とを比較できる楽しみがあっていいですね。
 ボートラでは未発表曲の『おはよーみなさん』が素敵でした。どパンクな演奏に電子音が鳴り響いてるのも好いし、早口で投げやりなヴォーカルも好いし。実はアーントサリーの『すべて売り物』みたいでいいなぁ、とか思ったんだけど。
 
 
 いとほに